十体(読み)ジッタイ

デジタル大辞泉 「十体」の意味・読み・例文・類語

じっ‐たい【十体】

漢字の10種の書体古文大篆だいてん籀文ちゅうぶん小篆八分はっぷん隷書章草行書飛白ひはく草書
漢詩のすぐれた10種の風体。形似体・質気体・情理体・直置体・彫藻体・映帯体・飛動体・婉転えんてん体・清切体・青花体。
和歌を歌体や様式から10種に分類したもの。藤原浜成の「歌経標式」、藤原定家の「毎月抄まいげつしょう」などにある。特に定家は有心うしん体を最も重視した。じってい。和歌十体。

じっ‐てい【十体】

じったい(十体)

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精選版 日本国語大辞典 「十体」の意味・読み・例文・類語

じっ‐てい【十体】

〘名〙 (「てい」は「体」の漢音)
② 和歌のすぐれた一〇種類の型。詠み口や美的内容から一〇種に分類したもの。
(イ) 藤原浜成の「歌経標式」による分類で、聚蝶・譴警・双本・短歌長歌・頭古腰新・頭新腰古・頭古腰古・古事意・新意体の一〇種。
読本・春雨物語(1808)海賊「浜成が和歌式に云ふは、十体也と云ふも、同じ浅はか事也」
(ロ) 壬生忠岑の「和歌体十種」による分類で、古歌体・神妙体・直体・余情体・写思体・高情体・器量体・比興体・華艷体・両方体の一〇種。
(ハ) 藤原定家の「毎月抄」による分類で、幽玄様・長高様・有心様・事可然様・麗様・見様・面白様・濃様・有一節様・鬼拉様の一〇種。
※毎月抄(1219)「もとの姿と申すは、勘へ申し候ひし十躰の中の幽玄様・事可然様・麗様・有心躰、これらの四にて候べし」
(ニ) 藤原為顕の「竹園抄」による分類で、たてぬきの歌・はたばりひろき歌・てには正しき歌・理至極する歌・たはぶれたる歌・物にすがりたる歌・古体の歌・詞ごとに心を入れたる歌・心を残す歌・物にすがらざる歌の一〇種。
能楽でのあらゆる風体。
風姿花伝(1400‐02頃)五「一向(ひとむき)の風体ばかりを得て、十体に亙るところを知らで、他所(よそ)の風体を嫌う也」

じっ‐たい【十体】

〘名〙
① 漢字の書体の一〇種類。古文・大篆(だいてん)籀文(ちゅうぶん)・小篆・八分(はつぶん)・隷書(れいしょ)・章草・行書・飛白(ひはく)・草書の総称
② 詩のすぐれた一〇種の体。形似体・質気体・情理体・直置体・彫藻体・映帯体・飛動体・婉転体・清切体・青花体の総称。

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とっさの日本語便利帳 「十体」の解説

十体

漢字の書体。▽古文、大篆(だいてん)、籀文(ちゅうぶん)、小篆、八分(はっぷん)、隷書、章草、行書、飛白(ひはく)、草書

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