十八史略(読み)ジュウハッシリャク(英語表記)Shí bā shǐ lüè

デジタル大辞泉 「十八史略」の意味・読み・例文・類語

じゅうはっしりゃく〔ジフハツシリヤク〕【十八史略】

中国歴史読本曽先之そうせんし撰。史記から新五代史までの17正史宋史を加えた18史を取捨選択して編纂した入門書。日本には室町中期に伝来

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精選版 日本国語大辞典 「十八史略」の意味・読み・例文・類語

じゅうはっしりゃく ジフハッシ‥【十八史略】

中国の史書。二巻。元の曾先之撰。太古から宋代に至る歴史を「史記」から「新五代史」までの一七の正史と宋関係の史料によって記述したもの。編年史で、逸話風に書かれている。現行のものは明の陳殷が注解をつけて七巻にしたもので、日本では室町末期から江戸時代にかけ盛んによまれ、明治以後も漢文教科書として用いられた。

じゅうはちしりゃく ジフハチ‥【十八史略】

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改訂新版 世界大百科事典 「十八史略」の意味・わかりやすい解説

十八史略 (じゅうはっしりゃく)
Shí bā shǐ lüè

中国,太古より宋代までの簡略な史書。宋末・元初の曾先之(そうせんし)撰。2巻。通行本は後代の増補を経て,明の陳殷の音釈,劉剡(りゆうえん)の標題,王逢の点校を付した7巻本。十八史とは正史のうち《史記》から《新五代史》までの十七史に《宋史》の記事を加えるの意である。宋・元代以後,簡易な通史が一般に求められる風潮があり,元・明代の江西地方を中心とする南中国でこの書が歓迎された。史料的価値は低い俗書であるが,多くの故事,逸話を含み,初学者のための入門書として読まれてきた。朝鮮では15世紀初めに銅活字によって刊行された。日本では1526年(大永6)上杉憲房が足利学校にこの書を寄進したのが最も古い記録である。江戸時代を通じて幼年就学者のための読本として,明治以後も学校用の漢文また歴史の教科書として盛んに用いられた。そのため日本における注釈書や国字解の類は数十種の多きにのぼる。なお元代の記事を加えた《十九史略》も明代に作られた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「十八史略」の意味・わかりやすい解説

十八史略
じゅうはっしりゃく
Shi-ba shi-lüe; Shih-pa shih-lüeh

中国の通俗史書。元の曾先之の著。2巻。以来しばしば加筆増補され,明の陳殷が音釈を,劉えんが標題を付した現行本は7巻。『史記以下五代史』までの 17の正史と,宋史の資料から重要な事実を抜粋,初学の読本としたもの。史料的価値は低く通俗本であるが,中国王朝興亡の概略がわかり,多くの人物の略伝,故事,金言も含み興味深いため,朝鮮に流伝し,日本にも室町時代に渡来。江戸時代に盛んに読まれ,明治時代には全国小学校の教科書に採用され,多数の注釈書が出た。

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百科事典マイペディア 「十八史略」の意味・わかりやすい解説

十八史略【じゅうはっしりゃく】

中国の史書。2巻。宋末・元初の曾先之の編。《史記》以下の17史に宋代の史書を加えたものを要約,編年体的に記述したもの。明の陳殷が字音と字義の解釈を付し,かつ7巻に分かって以後,7巻本が流布。日本には室町時代に渡来し,江戸期に和刻本が続出,初学者用の中国史教科書として,その流行は明治時代に及んだ。
→関連項目服部南郭

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旺文社世界史事典 三訂版 「十八史略」の解説

十八史略
じゅうはっしりゃく

宋末〜元初期の曾先之 (そうせんし) の著した歴史入門書
もとは2巻だったが,明初に陳殷が音釈を加えて7巻。『史記』以下の17正史に宋代の史料を加え,これを簡略にして18史とした。史料価値は低いが,中国史の一般的知識を得るには手ごろであり,また簡明なので,わが国で広く読まれ,特に初学者の入門書として利用された。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「十八史略」の解説

『十八史略』(じゅうはっしりゃく)

『史記』以下17の正史に宋代の記録を加えて概述した通史。宋末元初の曾先之(そうせんし)の撰。簡易平明に中国史の大要を知るに適当な入門書。現行本は明の陳殷(ちんいん)が音釈を加えた7巻本。

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