十河氏(読み)そごううじ

改訂新版 世界大百科事典 「十河氏」の意味・わかりやすい解説

十河氏 (そごううじ)

中世の武家家門の一つ。讃岐山田郡蘇甲郷(現,高松市十川(そがわ))出身の土豪。鎌倉後期の1293年(永仁1)には阿波守護小笠原常春の被官として阿波に進出した十河元清がおり,南北朝期の1356年(正平11・延文1)には細川頼之の目代として伊予の守護代に任ぜられた十河遠久がみえる。このように十河氏は早くから阿波,讃岐等の守護に従って四国各地に進出したが,室町期に入って細川氏の畿内分国獲得とともに中央に進出し,92年(元中9・明徳3)以降京都の細川邸に内衆として在勤し,1425年(応永32)には十河宗善が摂津守護代に補されている。戦国期に至り三好氏の勢力が讃岐に伸びると,三好長慶の弟十河一存(かずまさ)は十河景滋の猶子となって十河家を継承した。一存は1549年(天文18)の摂津江口の戦その他畿内の戦闘で殊功を立て,讃岐一国を治めたが,子の存保の代に至って衰退して長宗我部氏に滅ぼされた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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