千戸(読み)せんこ

精選版 日本国語大辞典 「千戸」の意味・読み・例文・類語

せん‐こ【千戸】

〘名〙
① 千軒の戸数多くの戸数。また、千の封戸(ふこ)
※大鏡(12C前)五「一品のみやは、三宮に准じて千戸の御封をえさせたまへば」 〔戦国策‐秦策・始皇帝
※光悦本謡曲・邯鄲(1464頃)「千戸万戸の旗の足」
トルコ族、女真族の軍制の単位。また、中国の明では北辺防備、清では蕃民支配のためにおかれた官名をいい、元が高麗を支配した時代に置かれた同様の軍団をもいう。
太平記(14C後)三九「一実起右、箚付差去、万戸金乙貴、千戸(コ)金龍等准之」 〔宣和遺事‐後集〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「千戸」の意味・わかりやすい解説

千戸
せんこ
mingghan

モンゴル遊牧民の伝統的行政軍事組織。 1000人の兵士または労働力を供出できる単位。すでに匈奴帝国にも万騎を率いる二十四長の下に,それぞれ千長,百長,什長があった。柔然も 1000人を軍とし,100人を単位とする組織をもっていた。モンゴルのチンギス・ハンは,征服した遊牧民の諸氏族,部族を千戸に再編成し,その長 (千戸) は世襲制で,一種の封建領となった。

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普及版 字通 「千戸」の読み・字形・画数・意味

【千戸】せんこ

多くの家。

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世界大百科事典(旧版)内の千戸の言及

【千戸制】より

…千戸を基礎として形成されていたモンゴル帝国の制度。千戸(ミンガンmingghan)は10の十戸(アルバンarban)を含む10の百戸(ジャグンjaghan)から成る。…

【モンゴル帝国】より

…テムジンは建国の過程で打倒した部やオボクの人畜多数を自分で保有し家族に与えた以外は,恩賞として主としてノクルに分与し管理させたようである。そして建国時にオボクとは別の遊牧民伝統の十進法的編成の千戸を国制の基本として採用し(オボクは消滅したわけではない),彼に仕えてきた功臣88人を千戸の長(ノヤン)に任命し,95の千戸を支配させたが,彼らの多くはノクルであったのである。多分彼らの率いた千戸の多くは,かつて彼らに分与された者たちを基礎に組織されたのであろう。…

※「千戸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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