半夏(読み)はんげ

精選版 日本国語大辞典 「半夏」の意味・読み・例文・類語

はん‐げ【半夏】

〘名〙
植物烏柄杓(からすびしゃく)漢名漢方では、その根を乾燥させたものをもいい、嘔吐(おうと)止め、咳(せき)止め、解熱または脚気(かっけ)、腎臓炎、つわりなどに用いる。《季・夏》
※田氏家集(892頃)下・池上追涼「咫尺池頭要会、梅霖半夏竹風秋」
言継卿記‐永祿一二年(1569)正月一日「予、〈略〉咳嗽之間、香蘇散に加半夏、杏仁、五味子、桑白皮、川芎等受用了」 〔礼記‐月令〕
② 「はんげしょう(半夏生)①」の略。《季・夏》
史記抄(1477)九「相国寺の夏中打扇は半夏から始ぞ」
仏語。夏安居(げあんご)の結夏(けつげ)と夏解(げげ)との中間、つまり九〇日にわたる安居の四五日目の称。
蔭凉軒日録‐嘉吉元年(1441)五月二五日「自半夏前板登用之由被仰出」 〔臨済録

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デジタル大辞泉 「半夏」の意味・読み・例文・類語

はん‐げ【半夏】

半夏生はんげしょう1」の略。 夏》
カラスビシャクの漢名。また、その根茎を、外皮を取り除いて乾燥したもの。漢方で去痰きょたん鎮嘔ちんおう・鎮吐薬などに用いる。 夏》
仏語。夏安居げあんごの中間にあたる45日目の称。

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百科事典マイペディア 「半夏」の意味・わかりやすい解説

半夏【はんげ】

漢方薬カラスビシャクの根茎の外皮を除いて水洗し乾燥したもの。無臭で強いえぐみがある。鎮吐作用があり胃内停水,悪阻(おそ),急性胃炎神経性嘔吐(おうと)などに用いる。煎剤

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動植物名よみかた辞典 普及版 「半夏」の解説

半夏 (カラスビシャク・ハンゲ)

学名Pinellia ternata
植物。サトイモ科の多年草,園芸植物,薬用植物

半夏 (ハンゲ)

植物。ドクダミ科の多年草,園芸植物,薬用植物。ハンゲショウ別称

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「半夏」の意味・わかりやすい解説

半夏
はんげ

カラスビシャク

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「半夏」の意味・わかりやすい解説

半夏
はんげ

カラスビシャク」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の半夏の言及

【カラスビシャク】より

…日本全域,朝鮮,中国に広く分布する。球茎の外皮を除き乾燥したのが漢方薬として重要な半夏(はんげ)で,デンプン,粘液,精油,ステロイド,3,4ジオキシベンツアルデヒドの配糖体を含み,嘔吐をしずめ,咳止めや去痰に効果がある。急性乳腺炎に外用し,脚気,船酔いなどにも用いられた。…

【半夏生】より

…夏至から11日目で,太陽暦では7月2日ごろ。このころ〈半夏〉(カラスビシャク)という名の毒草が生えるのでこの名が生まれたという。全国的に農繁期の一応の終了期とされている。…

※「半夏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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