南足柄市(読み)ミナミアシガラシ

デジタル大辞泉 「南足柄市」の意味・読み・例文・類語

みなみあしがら‐し【南足柄市】

南足柄

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「南足柄市」の解説

南足柄市
みなみあしがらし

面積:七七・五七平方キロ

神奈川県の西端に位置し、北は足柄上あしがらかみ山北やまきた町、東は同郡開成かいせい町・小田原市、南は足柄下郡箱根町・小田原市、西は静岡県と接する。北西から南西部に矢倉やぐら(八七〇メートル)金時きんとき(一二一二・五メートル)明神みようじんヶ岳(一一六九・一メートル)などがそびえ、市域の半分以上を標高三〇〇メートル以上の山間で占める。西部山地を源とするうち川が北境で酒匂さかわ川に合流し、中央を東にかり川が流れ、両河川の流域、とくに足柄平野の西端となる東部に集落が集まる。伊豆箱根鉄道大雄山線が小田原から関本せきもとに至る。市名は「古事記」の「足柄の坂本」や、「万葉集」の「あしがら」「あしかり」などに発する。昭和四七年(一九七二)まで足柄上郡に含まれた。

〔原始〕

主として狩川流域に遺跡が散在し、福泉の亀山ふくせんのかめやま塚原の玉峯つかはらのぎよくほうから先土器時代の石器が発見され、ひろ町の猿山さるやま弘西寺の苅畑こうさいじのかりはた怒田の上原ぬだのうえばら狩野の馬場かののばつぱ岩原いわはら苅野の下貝沢かりののしもかいざわには縄文遺跡が、怒田の下原しもばら沼田ぬまたには弥生遺跡が発見されている。昭和三六年に発見された関本の塚田つかだ古墳からは直刀をはじめ多数の遺物が出土した。現在、古墳は福泉・雨坪あまつぼ・塚原・岩原に各一基を残すだけである。

〔古代〕

和名抄」の足上あしかみ岡本おかもと郷が当市域内に比定され、天平七年(七三五)閏一一月一〇日の相模国封戸租交易帳(正倉院文書)によれば、一品舎人親王の食封のうちにみえ、五〇戸、田一二三町二三六歩、租一千五六九束四把が記される。東海道の要地であった足柄峠(坂・道)は、「古事記」に倭建命の白鹿退治を伝え、「万葉集」には十数首が詠まれ、役民・防人として徴発された東国農民の妻恋・夫の峠であった。坂東・関東はこの峠の東をさしたという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「南足柄市」の意味・わかりやすい解説

南足柄〔市〕
みなみあしがら

神奈川県南西部にある市。箱根外輪山足柄山地の東斜面から足柄平野の北西部までを占める。 1955年南足柄町,岡本村,福沢村と北足柄村の一部が合体。 72年市制。おもな集落は酒匂 (さかわ) 川の支流狩川の沖積地にあり,稲作が行われる。山麓では,ミカン,クリ,茶が栽培される。豊富な地下水と清澄な空気に恵まれ,フィルム工場が立地する。中心地区の関本は足柄路の峠下集落として発展。江戸時代には矢倉沢往還の宿駅で,西方に関跡がある。外輪山の明神ヶ岳中腹にある大雄山最乗寺は曹洞宗の名刹で,スギの美林と天狗伝説で知られる。足柄峠や金時山はハイキングの適地。面積 77.12km2。人口 4万841(2020)。

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