単純性紫斑病

内科学 第10版 「単純性紫斑病」の解説

単純性紫斑病(単純性紫斑病・老人性紫斑病)

概念
 若年女性に好発する原因不明の紫斑で,四肢,胸部臀部などにみられる.通常紫斑が唯一の症状でほかに出血症状を認めない.
病態
 血管の脆弱性亢進が原因と考えられている.過労月経と関連があり,ホルモンの血管への影響が想定されている.
臨床症状
 点状出血,斑状出血をみる.通常隆起を伴わないnon-palpable purpuraであり,刺激の受けやすい部位に多い.devil pinches(悪魔につねられた跡)などとよばれることもある.下肢の深在性紫斑であるDevis紫斑(遺伝性)なども単純性紫斑に含まれる.
検査成績
 止血機能に異常を認めない.すなわちスクリーニング検査血小板数,APTT, PT)は正常である.出血時間も正常範囲である.Rumpel-Leede試験が陽性となることがある.
診断・鑑別診断
 皮疹の状況,発症状況などを考慮して診断する.止血学的検査で異常がないことが重要である.Henoch-Schönlein紫斑病薬疹,壊血病,von Willebrand病(タイプ1),特発性血小板減少性紫斑病などと鑑別を要する.
経過・予後
 紫斑は自然消退し予後は良好であるが,再発は多い.
治療
 積極的な治療は必要としない.[村田 満]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

家庭医学館 「単純性紫斑病」の解説

たんじゅんせいしはんびょう【単純性紫斑病】

[どんな病気か]
 しばしば皮下出血(ひかしゅっけつ)をおこし、紫斑ができますが、ほかには出血傾向(しゅっけつけいこう)(「出血傾向とは」)がなく、血液の凝固能(固まる力)にも異常がないものです。
 若い女性に多くみられ、脚(あし)や臀部(でんぶ)によくおこるのですが、本人にはぶつけたような記憶がないのがふつうです。
 単純性紫斑病そのものは、まったく心配する必要のない状態で、治療も必要ありません。
 しかし紫斑は、血管や血小板(けっしょうばん)の異常など、重い病気の前ぶれのこともあり、検査してみないと、心配のいらないものか、治療の必要があるものかわかりません。
 また、軽症の血小板機能異常症(けっしょうばんきのういじょうしょう)(「血小板機能異常症」)を単純性紫斑病と見誤っている可能性もあります。
 したがって、しばしば紫斑ができるようなら、一度は血液専門の医師の検査を受け、とくに異常がないことを確かめておくべきでしょう。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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