原子熱(読み)げんしねつ(英語表記)atomic heat

精選版 日本国語大辞典 「原子熱」の意味・読み・例文・類語

げんし‐ねつ【原子熱】

〘名〙 一グラム原子の物質温度一度上げるのに必要な熱量で、比熱原子量の積。〔物理学術語和英仏独対訳字書(1888)〕

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デジタル大辞泉 「原子熱」の意味・読み・例文・類語

げんし‐ねつ【原子熱】

原子量比熱の積。1グラム原子の物質の温度を1度上げる熱量

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「原子熱」の意味・わかりやすい解説

原子熱
げんしねつ
atomic heat

原子量と比熱の積、すなわち1モルの物質の温度を1℃だけ上げる熱量をいう(単位カロリーで表すのが普通)。原子熱容量ともいう。1原子気体(たとえば希ガス元素の気体)の原子熱は定容で3カロリー、定圧で5カロリーである。

 1819年フランスのデュロンプチが、「固体元素の原子熱は常温付近ではほぼ一定である」というデュロン‐プチの法則を発表し、正しい原子量決定の有力な手段になったことはよく知られている。デュロン‐プチの法則は低温では成立しなくなるが、アインシュタインはこれを量子論的に解決し、アインシュタインの比熱式としてまとめている。

[中原勝儼]

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百科事典マイペディア 「原子熱」の意味・わかりやすい解説

原子熱【げんしねつ】

単体の原子1モルの温度を1℃上げるために必要な熱量。元素の場合には,比熱原子量の積に等しい。金属元素の原子熱についてはデュロン=プティの法則がある。→ノイマン=コップの法則
→関連項目熱容量

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化学辞典 第2版 「原子熱」の解説

原子熱
ゲンシネツ
atomic heat

[同義異語]原子熱容量

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「原子熱」の意味・わかりやすい解説

原子熱
げんしねつ

熱容量」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の原子熱の言及

【ノイマン】より

…29年にケーニヒスベルクの大学で鉱物学と物理学の教授となり,鉱物の比熱の研究や,結晶中や非晶質中での複屈折の研究を行った。31年,コップHermann Franz Moritz Kopp(1817‐92)とともに固体のモル比熱が近似的に成分元素の原子熱(1グラム原子に対する熱容量)の和に等しいというノイマン=コップの法則を見いだした。45年には,レンツの法則に基づいて誘導電流の法則を数学的に定式化し,ノイマンの法則を導出した。…

※「原子熱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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