厲鶚(読み)れいがく(英語表記)Li E

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「厲鶚」の意味・わかりやすい解説

厲鶚
れいがく
Li E

[生]康煕31(1692)
[没]乾隆17(1752)
中国,清の文学者。浙江省銭塘の人。字,太鴻。号,樊しゃ (はんしゃ) 。康煕 59 (1720) 年挙人に及第,乾隆1 (36) 年博学鴻詞科を受けたが落第。その後,各地の文学愛好の富豪に頼りつつ文学の研究,創作に従い,その一人である査為仁の水価荘に寄寓しているときに,査と『絶妙好詞箋』を共著,蔵書家として名高い馬曰かん (ばえつかん) の小玲竜山館に滞在中に『宋詩紀事』を著わすなど,宋詩詞の研究鼓吹に努めた。ために唐風を破るものと批判されたが,みずからは宋詩に学びつつも六朝の陶淵明,謝霊運,唐の王維など広く各代の詩にも親しみ,独自の詩風を確立した。またでも浙西詩派の代表的詞人として朱彝尊 (しゅいそん) と並称される。主著『樊しゃ山房集』。

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改訂新版 世界大百科事典 「厲鶚」の意味・わかりやすい解説

厲鶚 (れいがく)
Lì È
生没年:1692-1752

中国,清代中期の詩人。字は太鴻,号は樊榭(はんしや)。浙江省杭州府銭塘県に生まれ,宋代の文化にあこがれながら名勝西湖を清く深くうたいつづけて,この地方の詩壇を有名にした。葉タバコ販売の兄に育てられ,官職にも就けなかったが,天津の蔵書家査為仁と《絶妙好詞箋》7巻を著し揚州の塩商出身の富豪馬曰琯(ばえつかん)と《宋詩紀事》100巻を編集するなど,その詩作学問は都市文化の成熟に支えられている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「厲鶚」の意味・わかりやすい解説

厲鶚
れいがく
(1692―1752)

中国、清(しん)代の詩人。字(あざな)は太鴻(たいこう)、号は樊榭(はんしゃ)。浙江(せっこう)省銭塘(せんとう)の人。1720年(康煕59)の挙人。遼(りょう)、宋(そう)の歴史や文芸に精通、『遼史拾遺』24巻、『宋詩紀事』200巻、『南宋院画録』8巻など多数の著述がある。詩は陶淵明(とうえんめい)、謝霊運(しゃれいうん)、王維(おうい)らの自然詩を学び、独自の清雅な趣をもつ。詞にも優れ、南宋諸家の長所をとり清真雅正と評され、同じ浙江の朱彝尊(しゅいそん)の後を受けて浙西(せっせい)派の大家に数えられる。友人の査為仁(さいじん)と『絶妙好詞箋(せん)』7巻を著した。詩文を集めた『樊榭山房集』37巻がある。

[佐藤 保]

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