厳し(読み)イツクシ

デジタル大辞泉 「厳し」の意味・読み・例文・類語

いつく・し【厳し/美し/慈し】

[形シク]《「稜威いつし」の意という》
神や天皇または貴人威力が強く激しいさま。いかめしくおごそかである。
「そらみつ大和の国は皇神すめがみの―・しき国」〈・八九四〉
容姿気品があるさま。端正であるさま。
「―・しき男子をまうけけり」〈伽・一寸法師
《室町時代ごろから「うつくし」と混同して用いられて》美しい。きれい。
「卯の花の…垣根に咲き乱れたるは、―・しうおもしろければ」〈仮・露殿・下〉

いか・し【厳し】

[形ク]いか(厳)い
[形シク]盛んなさま。また、りっぱなさま。
八束穂やつかほの―・し穂に」〈祝詞祈年祭
[補説]確実な用例が、上記ほか「厳しほこ」「厳し御世みよ」のような連体用法に限られている点から、古くはシク活用であったろうと推定されている。

きび・し【厳し】

[形ク]
あいているところがなく詰まっている。密である。
「歯は白きことひとしく―・くして」〈西大寺本金光明最勝王経平安初期点〉
厳格である。容赦がない。
弾正をば霜台といふぞ。―・くはげしう事をただす官ぢゃほどにぞ」〈百丈清規抄・三〉
[補説]「きびし」(シク活用)の、古い活用形式。
[形シク]きびしい」の文語形

いつか・し【厳し】

[形シク]りっぱで重々しい。いかめしい。
「昔のためしよりも事添へて、―・しき御ありさまなり」〈少女

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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