参審員(読み)サンシンイン(英語表記)Schöffen

デジタル大辞泉 「参審員」の意味・読み・例文・類語

さんしん‐いん〔‐ヰン〕【参審員】

参審制度を採用する国で、市民から選任され、裁判官合議体を作って裁判に関わる人。任期は国により異なる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「参審員」の意味・わかりやすい解説

参審員
さんしんいん
Schöffen

審判人とも訳される。フランクのカルル大帝によって創設された常置判決発見人。農業の発展に伴い,自由農民の一般的裁判協力義務が,軍役義務と同じように彼らにとって重圧となっていた。このような経済事情を背景として導入されたこの制度によれば,グラーフ,または国王巡察使が経済的余裕のある上層自由民のなかから,7名の参審員を終身的に任命し,毎年3回の定期裁判集会では,全民衆の参加が依然として必要とされたものの,判決の発見それ自体はもっぱら参審員によって行われ,臨時裁判集会では民衆の参集は必要ではなくなり,参審員だけで裁判は運用された。のちに参審員の職務は,一定の土地と結びついて世襲化し,一部の地方では参審自由人という自由農民中の最高の身分の基礎となった。

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世界大百科事典(旧版)内の参審員の言及

【裁判官】より

…また,日本では,大多数の者が,法曹資格取得後他の法律職(検察官,弁護士等)に就くことなく,はじめから裁判官に任命され,その組織の中で養成され,順次昇進,昇給していくのが普通であり(キャリア・システム),他の法律職としての経験が豊富な者の中から,裁判官を任命するという法曹一元の理念は,実現されていない。諸外国で見られる,法律の専門家でない素人が,裁判官または参審員(参審制)として審理に直接関与する制度は,日本にはないし,陪審制も現在,実施されていない。
[種類および任命]
 日本の現行法上,裁判官は,最高裁判所長官,最高裁判所判事,高等裁判所長官,判事,判事補,簡易裁判所判事の6種類がある。…

【参審制】より

…抽選などにより一般市民から選ばれた数人の参審員(非常勤,法律の素人)が,裁判官(常勤,専門職)とともに裁判所の合議体を構成して事件を審判する制度。主としてドイツで発達したもので,ドイツの刑事手続における参審裁判所Schöffengerichtはその典型である。…

※「参審員」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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