取上げ親(読み)トリアゲオヤ

デジタル大辞泉 「取上げ親」の意味・読み・例文・類語

とりあげ‐おや【取(り)上げ親】

生まれた子供を取り上げた人が仮親かりおやになること。また、その人。子取り親。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「取上げ親」の意味・わかりやすい解説

取上げ親
とりあげおや

トリアゲ(助産)にあたった女性と生児との間に取り結ばれる仮の親子関係における親。その子は取子(とりご)という。職業的な助産婦が一般化する以前は、トリアゲババ、コナサセババなどという手慣れた老女や結婚の世話にあたった妻女などが、出産に立ち会い、「助産」の役割を多く果たした。その際トリアゲにあたった女性を親にたて、生児の将来の世話をも頼むのである。一種呪術(じゅじゅつ)的な親子関係で、古くは生児の生命力に特殊な影響をもつと考えたのであろう。しかし村々の半職業的な形のトリアゲババの類は実際上も生児と久しく交渉をもち、種々身上相談的な助力をのちのちまで果たしていた。そして職業助産婦の古い人々にも中部山地の村々などには、なおその余風が残っていた。

[竹内利美]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android