取上親(読み)とりあげおや

精選版 日本国語大辞典 「取上親」の意味・読み・例文・類語

とりあげ‐おや【取上親】

〘名〙 お産のときに、子をとりあげてくれた人を親にみたてていう語。ふつうは、助産婦産婆をいう。子取親。〔日葡辞書(1603‐04)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の取上親の言及

【親子成り】より

…親子成りによって設定されるのは法的な親子関係とは異なるから,養子縁組による養親子関係とは社会的意義が全く異なる。 親子成りが行われる契機には二つあり,第1は出産,命名,成人,結婚など通過儀礼の諸段階に行われるものであり,こうしてとった親に取上親,名付親,元服親,仲人親などがある。第2は拾い親,草鞋親のように通過儀礼の段階にはとくに関係なく,子どもが病気がちでよく育たないとか,新しく村に転入してきた場合に行われるものである。…

【親分・子分】より

…ムラ人が親分を得てその子分となる機会は,人生の通過儀礼の節目ごとに見いだされえた。出生時に頼む〈取上親〉〈名付親〉,また病弱な子を儀礼上いったん捨て子する形をとり,あらかじめ頼んでおいた人に〈拾い親〉になってもらうことによって健康な子になると考える風習もあったが,最も一般的には,成人するとき男は烏帽子親(えぼしおや),女は鉄漿親(かねおや)を頼み,また結婚するときに仲人親を頼むというように,仮親に依存することであった。ムラや生まれ育ったマチを離れ,生家を離れて他のマチの商家や職人の家の家長を親方とすることは,子飼い住込みの丁稚(弟子)奉公人となるときに,その家の子方となることを意味した。…

【助産婦】より

…愛知県ではトヤゲババに対して生児をトヤゲゴといい,子は終生親に次ぐ礼をとり,盆正月はもとよりトヤゲババの死んだ場合は湯灌を行うものであった。新潟・千葉・神奈川などでは助産をするババのほかに別に取上親をたのむ風が今もある。取上親はへその緒を切るだけの役目で,生児が7歳になるまではその子の成長に伴う祝儀には正客として招かれる。…

【仲人】より

…仲人は単なる媒介者でなく,正当な婚姻として地域や親族,その他当事者の属する諸集団において承認を得るための,家の代表者として,また証人として,さらに新夫婦の指導,後見としての役割が期待されているのであり,そのため仲人には,当該社会の規範によってふさわしいとされる社会的地位や経済力などが要求されたと考えられる。新夫婦と仲人の関係は,一生続く場合もあり,仲人親(なこうどおや)として親子の関係(親子成り)を結び,親の葬式への参加,出産への祝儀など種々の義務づけがあり,さらに仲人は生まれた子の名付親や取上親として次の世代にまで関与することもあった。かつての村で仲人が必要とされたのは,比較的上層部の家が配偶者にふさわしい同格の家を広く他村に求めたことによると考えられる。…

※「取上親」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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