口元・口許(読み)くちもと

精選版 日本国語大辞典 「口元・口許」の意味・読み・例文・類語

くち‐もと【口元・口許】

〘名〙
① 口のあたり。口。
※百丈清規抄(1462)三「くわるるとはみゆるとも、口(クチ)もとえよれば、天人がいてそばから取て食ぞ」
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「なにしても昇は絶えず口角(クチモト)微笑を含んで」
② 口のあたりの様子。口つき。くちさき。
※虎明本狂言・合柿(室町末‐近世初)「そちが喰ふてもうまいか渋いかは口もとで知るる事じゃ」
③ 物を出し入れしたり、人が出入りしたりするところ。入口。はいりくち。
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「ただくちもとに目録を書きたるふみを取り給て」
※黄表紙・的中地本問屋(1802)「七つに曲りし玉に糸を通すに、蟻に糸をつけて穴の口元に入れ」
④ 物事のはじめ。初歩
※黄表紙・鼻峯高慢男(1777)「神道・じゅ道・ぶつ道の事、みな口もとの所をとひけるに、ひとつとしてあきらかなるこたへなく」
⑤ (形動) 言うことが幼稚なこと。思慮のないこと。また、そのさま。
洒落本・嘉和美多里(1801)「口元なわたゐらが異見もわかちも聞入ちゃアくんなはるめへが」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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