精選版 日本国語大辞典 「口説」の意味・読み・例文・類語
くどき【口説】
〘名〙 (動詞「くどく(口説)」の連用形の名詞化)
① くどくこと。ながながと説明したり嘆願したりすること。くどくことば。
※捷解新語(1676)四「こなたのくときおきけば、いかやうにもしたいけれども」
② 日本音楽で、楽曲の構成単位となる部分の名。
(イ) 平曲で、説明的な部分をいう。地の部分で、最も普通に用いられる曲節。旋律的でなく、また、音を装飾したり伸ばしたりすることもなく、語るような口調。中音域で、テンポも中庸。歌詞の内容は雑多であるが、多くの曲はこれで始まる。
※曲附次第(1423頃)四「此の前韻後韻の音聞、ことに、地の物 くどきなどに多かるべし」
くど・く【口説】
(「くどい」「くどくど」などと同源か。また、「口説(くちと)く」の意か)
[1] 〘自カ五(四)〙
① くどくどと繰り返していう。嘆きのことばを繰り返す。しつこくいう。愚痴(ぐち)をいう。
※金刀比羅本保元(1220頃か)下「時移るまでつくづくと候ひて、又泣く泣く口説申しけるは」
② 祈り訴える。祈願する。
※讚岐典侍(1108頃)上「経よみ仏くどき参らせらるるほどに」
③ 謡曲で、悲歎、恋慕、述懐などの情を低く吟詠する。
※申楽談儀(1430)よろづの物まねは心根「常盛の能に、此女思ひいれてすべきを、皆浅くする也。人のうたふまでうつぶき入て、其うちよりくどき出すべし」
[2] 〘他カ五(四)〙
※京大二十冊本毛詩抄(1535頃)三「我は男ぞ何とくどいたやらなびゐたよ」
② 話して、納得させる。説得する。
※太平記(14C後)二八「項羽が老臣、項羽に口説(クドイ)て云けるは」
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