精選版 日本国語大辞典 「古今伝授」の意味・読み・例文・類語
こきん‐でんじゅ【古今伝授】
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歌学用語。『古今和歌集』の解釈を中心に、歌学およびそれに関連する諸説を、口伝(くでん)、切紙(きりかみ)、抄物(しょうもつ)によって、秘伝として師から弟子へと伝えること。広義には、中世前期から行われた歌道の伝授をも含めていうが、狭義には、室町中期以降の伝授形式が定まって、二条宗祇(そうぎ)流、二条堯恵(ぎょうえ)流が成立してからをいう。
平安末期から、歌の解釈や詠歌法、歌会の方式などをめぐって、歌人たちがそれぞれに伝承、家説を誇示するようになった。鎌倉時代になると御子左(みこひだり)家の覇権が確立したが、やがてその嫡流たる二条家の流れと、庶流の京極(きょうごく)家、冷泉(れいぜい)家を含む反二条家の流れとに分かれ、勅撰(ちょくせん)和歌集の編集権なども絡んで歌道伝授も多様な様相をみせるようになる。南北朝時代に二条家が断絶するが、その流れをくむ二条流が歌道の主流であり続け、室町中期には、歌学を神道、仏教によって基礎づけるとともに、その伝授形式を確立した二条宗祇流、二条堯恵流により、古今伝授が成立した。宗祇流では卜部神道(うらべしんとう)との結び付きがみられ、堯恵流では天台教理との結び付きが顕著である。
宗祇流は、近衛(このえ)家、三条西家などに伝えられ、三条西家から細川幽斎、智仁(としひと)親王を経て後水尾(ごみずのお)天皇、さらに歴代天皇、上層公家(くげ)に伝えられて、御所伝授として確立し、近世を通じて権威を保った。この派からは早く宗祇から伝受した肖柏(しょうはく)を通じて町衆に流布した堺(さかい)伝授が派生し、また、近世では、幽斎から伝受した貞徳(ていとく)などを通じて武家、町人層に流れて地下(じげ)伝授を派生し、町人文化の形成に寄与する。近衛家に伝わった流れは、近世初期に断絶した。堯恵流は、後柏原(ごかしわばら)天皇や青蓮院(しょうれんいん)に伝えられたが、よい後継者を得られず、中世末期に断絶した。
古今伝授は、思想史や花道、茶道、書道などの文化総体のなかに位置づけた評価を必要とするものである。
[新井栄蔵]
『横井金男著『古今伝授の史的研究』(1980・臨川書店)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
中世後期に行われた歌道伝授の一形式。「古今集」を講釈し,その注説の重要な部分を切紙(きりかみ)として示し,これに古注・証状・相承系図を付して伝授した。形式化するのは室町時代。15世紀後半には,二条流を尭孝から伝授された尭恵(ぎょうえ)流と,東常縁(とうつねより)から伝授された宗祇流の2流があった。宗祇流は宗祇が近衛尚通(ひさみち)・三条西実隆・牡丹花肖柏らに伝授。三条西実枝(さねき)(実澄)より伝授された細川幽斎(藤孝)が八条宮智仁(としひと)親王に伝授し,さらに親王から後水尾(ごみずのお)上皇に伝授され,御所伝授が成立した。細川幽斎から伝授された松永貞徳や,貞徳に師事した北村季吟らの流れをくむ地下(じげ)伝授の諸流もあった。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...
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