古四王神社(読み)こしおうじんじゃ

精選版 日本国語大辞典 「古四王神社」の意味・読み・例文・類語

こしおう‐じんじゃ こしワウ‥【古四王神社】

秋田市寺内にある神社。旧国幣小社。崇神天皇のとき阿倍氏の祖、大毘古命(おおびこのみこと)が武甕槌命(たけみかづちのみこと)をまつったのに始まる。のち大毘古命を合祀。秋田城の鎮護神として崇敬された。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「古四王神社」の意味・読み・例文・類語

こしおう‐じんじゃ〔こしワウ‐〕【古四王神社】

秋田市寺内にある神社。祭神は武甕槌命たけみかづちのみこと大彦命おおひこのみこと。古四王大権現。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「古四王神社」の解説

古四王神社
こしおうじんじや

[現在地名]秋田市寺内 児桜

寺内てらうちを貫通する旧国道(羽州街道)から西向きの石段を登りつめると、丘陵上に社殿がある。祭神は武甕槌命・大彦命。旧国幣小社。

四道将軍大彦命がこの地に来て武甕槌命を祀り、その後阿倍比羅夫下向のとき大彦命を合祀、古四王と尊称、さらに坂上田村麻呂もここに至って祈願し、武功をたてたので延暦年間(七八二―八〇六)に再興したと伝える。「日本書紀」斉明天皇四年四月に「阿陪臣」の蝦夷征討で齶田蝦夷恩荷が官軍に服したと記す。

古四王神社
こしおうじんじや

[現在地名]新発田市五十公野

五十公野いじみの丘陵の一峰古四王山の頂に鎮座し、大彦命を祀る。五十公野集落の鎮守社。古四王神社は新潟県の阿賀野川流域を南限とし、東北地方日本海側に集中的に分布することで知られ、また北向きの社殿が多いのが特徴とされる。祭神の大彦命は崇神天皇一〇年、四道将軍の一人として北陸に派遣されたという人物で(日本書紀)、天明四年(一七八四)当社に参拝した菅江真澄が「この神は古四王にあらず、越王におはしましき」(高志栞)と述べたように、古四王を越(高志)王と解釈する説が広く行われている。

古四王神社
こしおうじんじや

[現在地名]神林村松沢 館野

松沢まつざわ集落の東方館野たてのの山頂に鎮座する。祭神は大毘古命。社伝によれば、貞観年中(八五九―八七七)大毘古命すなわち大彦命を祖とする阿部氏の子孫が松沢の地を開き、征夷北方拓殖の守護神である古四王神を祀ったものとされる。松沢には阿部姓が多い。のち乙宝おつぽう(現北蒲原郡中条町)住職が松沢村とはかり、阿弥陀如来薬師如来文殊菩薩普賢菩薩を合祀したという。

古四王神社
こしおうじんじや

[現在地名]大曲市大曲 古四王際

祭神大彦命。旧村社。古くから高畑の古四王様として崇敬されてきている。

創建の年は明らかではないが、後世氏子総代をつとめた富樫家の文書に、

<資料は省略されています>

とあり、これが正しいとすれば元亀元年(一五七〇)に建立されたことになる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「古四王神社」の意味・わかりやすい解説

古四王神社 (こしおうじんじゃ)

秋田市寺内に鎮座。旧国幣小社。武甕槌(たけみかづち)命,大彦命をまつる。武の神。旧佐竹藩時代には〈御国十二社〉のうちで神領60石。中世の安東氏時代にも古四王権現として崇敬された。平安後期に秋田城鎮護四天王寺と習合し本山派修験の古四天王寺と称した。830年(天長7)の地震で倒壊した四王堂は当社の前身で,当時四天王寺の寺内鎮守の地位にあったと認められる。さかのぼれば《日本書紀》斉明天皇条の秋田浦の神で,これが阿倍氏勢力と接触し,北陸の神高志(越)王と結合したのであろう。例祭5月8日。北陸や東北に同名の神社が多く,社殿が重文の秋田県大曲市(現,大仙市)の古四王神社,新潟県津川町(現,阿賀町)の古四王神社などの諸社が著名。胡四王,腰王,故将などと書く社の例もある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「古四王神社」の意味・わかりやすい解説

古四王神社
こしおうじんじゃ

秋田市寺内(てらうち)字児桜(こざくら)に鎮座。武甕槌命(たけみかづちのみこと)、大彦命(おおひこのみこと)を祀(まつ)る。創建年代不詳。社伝では、崇神(すじん)天皇の代に四道(しどう)将軍の大彦命が北辺鎮護の神として武甕槌命を祀り、のち阿倍比羅夫(あべのひらふ)が大彦命を合祀(ごうし)し古四王と称して崇(あが)めたと伝える。古代、秋田城の鎮守であり、のち古四王大権現(だいごんげん)と称して信仰を集め、藩政時代には社領60石を寄せられた。旧国幣小社。例祭は5月8日で、この日にはその年の豊凶を占う糊付矛(のりつけぼこ)の特殊神事が行われる。同名の神社が日本海沿いの新潟、山形、秋田および岩手の各県に分布している。

[高橋美由紀]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「古四王神社」の意味・わかりやすい解説

古四王神社【こしおうじんじゃ】

秋田市寺内字児桜に鎮座。旧国幣小社。武甕槌(たけみかづち)命と大彦命とをまつる。北辺鎮守の神としてまつられ,秋田城のなかにあった四王堂が前身とみる説がある。例祭は5月8日。糊付矛(のりつけぼこ)神事がある。ほかに船渡御神事(旧3月16日)など。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

デジタル大辞泉プラス 「古四王神社」の解説

古四王神社

秋田県大仙市にある神社。「こしおうじんじゃ」と読む。祭神は大彦命(おおひこのみこと)、天照皇大神(あまてらすすめおおかみ)、豊受大神(とようけのおおかみ)、建御名方命(たけみなかたのみこと)、八坂刀売命(やさかとめのみこと)、水波女神(みずはのめのかみ)。室町時代末期に建てられたとされる本殿は国の重要文化財に指定。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android