右近の橘(読み)うこんのたちばな

精選版 日本国語大辞典 「右近の橘」の意味・読み・例文・類語

うこん【右近】 の 橘(たちばな)

紫宸殿(ししんでん)の南階下の西側に植えた橘。平安時代右近衛府官人がこの橘から南に陣列したことからいう。右近。⇔左近の桜
平治(1220頃か)中「左近の桜、右近の橘を七八度まで追ひまはして」
② (①を模して)雛祭り雛壇に並べる飾り物
※人でなしの恋(1927)〈江戸川乱歩〉七「これがお雛様、これが左近の桜、右近(ウコン)の橘(タチバナ)と」

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デジタル大辞泉 「右近の橘」の意味・読み・例文・類語

うこん‐の‐たちばな【右近の×橘】

紫宸殿ししんでんの南階下の西方に植えた橘。平安時代、右近衛府がこの橘から南を陣としたところからいう。→左近の桜

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改訂新版 世界大百科事典 「右近の橘」の意味・わかりやすい解説

右近の橘 (うこんのたちばな)

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世界大百科事典(旧版)内の右近の橘の言及

【左近の桜・右近の橘】より

…平安宮内裏の紫宸殿(南殿ともいう)前庭に植えられている桜とタチバナ。左近・右近は左近衛府・右近衛府の略称。左近は紫宸殿の東方に,右近は西方に陣をしくが,ちょうどその陣頭の辺に植えられているのでこの名がある。平安時代末期にできた《古事談》に,南殿の桜はもと梅であって,794年(延暦13)の平安遷都のとき植えられたが,960年(天徳4)の内裏焼亡の際に焼失し,内裏新造のとき,梅に代えて重明親王の家の桜を植えたものであり,タチバナは平安遷都以前,そこに住んでいた橘大夫という人の家に生えていたものである,という話が見える。…

【タチバナ(橘)】より

…ただ一つ日本原産とされるかんきつ類で,〈左近の桜〉に対する〈右近の橘〉として知られる(イラスト)。ヤマトタチバナともいう。…

※「右近の橘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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