精選版 日本国語大辞典 「各別・格別」の意味・読み・例文・類語
かく‐べつ【各別・格別】
[1] 〘名〙
① (━する) それぞれ別であること。また、めいめいが別々に行なうこと。
※太平記(14C後)一七「浄慶父子各別の身と成て尾張守殿に属し申たる事にて候間」 〔春秋左伝注‐哀公元年〕
※肥前橘中村文書‐建長五年(1253)八月二七日・関東下知状案「寂心得二地頭下文一、乍レ知二行当名一、令レ敵二対公━一。可レ給二各別御下文一之旨、令レ申之条、甚無二其謂一之間、不レ及二別子細一矣」
※日葡辞書(1603‐04)「Cacubetno(カクベツノ) シサイ アッテ〈訳〉異なるわけがあって」
※浄瑠璃・平家女護島(1719)四「互に心おく女中、廿三四の色ざかり、町の風とは一位(ひとくらゐ)、顔も姿も各別(カクベツ)に」
③ (形動)(格別) 物事の度合が普通より著しいさま。多く、よい方に著しい場合にいう。かくべち。
※評判記・役者評判蚰蜒(1674)金子六右衛門「一とせ大坂へ下りてより諸芸の品夕立の雨にかれわたる庭の草々のうるをいをうけたるごとく各別になりてのぼりたり」
※人情本・春色梅児誉美(1832‐33)後「年々に割付上納いたすならば、格別(カクベツ)の慈悲をもって済しくれん」
④ (格別)
(イ) (「…は格別」の形で) 話の外の事として別にするという意を表わす。ともかくとして。別にして。
※浄瑠璃・鑓の権三重帷子(1717)上「木石ならぬ若い者、当座の色は各別(カクベツ)」
(ロ) (仮定表現のあとへ付けて) もしそうなら、事情が違ってくるという意を表わす。話は別になるが。
[2] 〘副〙 (格別)
① 物事の状態、性質などの度合が普通よりはなはだしい意を表わす。とりわけ。特別に。とりたてて。
② (下に打消を伴って) それほど。たいして。
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