合指症(読み)ゴウシショウ(英語表記)Syndactyly

デジタル大辞泉 「合指症」の意味・読み・例文・類語

ごうし‐しょう〔ガフシシヤウ〕【合指症】

手や足の隣り合う指がくっついていること。手術で治る。

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六訂版 家庭医学大全科 「合指症」の解説

合指症
ごうししょう
Syndactyly
(子どもの病気)

どんな病気か

 手の発生は胎生4~8週に進行します。内因(染色体異常遺伝子異常)または外因によりこの過程が損なわれると、さまざまな手の先天異常が生じます。このうち合指症とは、隣接する指同士の一部または全部が癒合(ゆごう)した(くっついた)ものを指します。合指症は出生3000人に対し1人の頻度でみられ、なかでは中指・環指(かんし)(薬指)間の合指が最も多い傾向にあります。発生学的には、合指症は指の分化障害(分離不全)に分類されており、その程度により、皮膚性合指(皮膚だけの癒合)と骨性合指(骨も含めた癒合)に分けられます。

原因は何か

 単独で生じることもありますが、先天奇形症候群(ポーランド症候群など)の症状の一部としてみられることもあります。合指症と頭蓋骨早期癒合症(ずがいこつそうきゆごうしょう)を合併する先天異常の一群(アペール症候群など)は、骨の発生を制御する成長因子の受容体の遺伝子の変異に起因しています。

検査と診断

 合指症は出生時に、すでに明らかです。まず体にほかの異常が合併していないかどうか、診察を受けます。整形外科の専門医を受診し、手術の可否時期について相談します。X線撮影で指骨形態を評価します。

治療の方法

 指の分離手術はたいてい生後8カ月~3歳で行われます。多くの場合、皮弁(ひべん)を用いて指間を形成し、ジグザグ皮切により指を分離し、皮膚欠損を移植によりおおいます。二段階に分けた手術や骨切り術、骨移植術を要する症例もあります。

病気に気づいたらどうする

 小児の整形外科専門医の診察を受けます。

水口 雅

合指症
ごうししょう
Syndactyly
(運動器系の病気(外傷を含む))

どんな病気か

 隣り合った指が互いに癒合(ゆごう)している(くっついている)異常が合指症です(図3)。中指~薬指間などにみられます。

原因は何か

 手や指が形づくられるのは胎生6~8週とされ、このころの発生異常と考えられ、多指(たし)に合併した多合指(たごうし)の場合もあります。次項で述べる絞扼輪症候群(こうやくりんしょうこうぐん)などでも合指を示す場合がありますが、別の疾患です。

症状の現れ方

 骨が癒合しているかどうかで骨性合指、皮膚性合指に分けます。癒合範囲については、指全体にわたって癒合している場合と、先端は分離している場合とがあります。

検査と診断

 骨の状態をみるためにX線検査を行います。

治療の方法

 単純な皮膚性合指では1~2歳で分離手術を行います。この際、通常は植皮が必要です。

 骨性合指、3指以上の合指などでは技術的に難しい場合があります。

病気に気づいたらどうする

 専門の整形外科医形成外科医のいる病院を受診して相談してください。

奥住 成晴


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「合指症」の意味・わかりやすい解説

合指症 (ごうししょう)
syndactyly

隣り合う2本の指が分離せずに,種々の程度に癒合した形をとる奇形で,多指症についで多くみられる先天異常である。足にもみられるが,手に多く,1000~3000人に1人の割で発生する。中指と薬指の間に最も多い。合指の程度はさまざまで,指間にみずかきのある程度の軽いものから,指全体が皮膚で連結されたもの,骨まで癒合している骨性合指症osseous syndactylyなどがある。原因は,胎生6~8週に手指が発生する基となる間葉細胞が障害されることによる。多くは散発的に発生するが,一部のものは家族性に発生し,常染色体性優性遺伝が認められている。多指症や他の合指症,また胸筋の欠損と合併することがある。全身性の奇形症候群の部分変形であることも少なくない。乳児期の形成手術には再発や新たな変形の発生することがあるので,2~3歳以後に手術を行うのが適当とされている。
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百科事典マイペディア 「合指症」の意味・わかりやすい解説

合指症【ごうししょう】

手足の指の先天的な形態異常の一つで,隣同士の指が2本,またはそれ以上癒合(ゆごう)している状態。先天性の形態異常のうち,手足の指の異常は頻度が高いが,中でももっとも頻度が高く出現するのが,この合指症である。原因は不明。癒合指を切り離す手術が必要となるが,指の機能に障害が起こらないようにするため,ある程度の成長を待って行うことが望ましい。近年,形成外科の一分野として,手の形態異常を専門に扱う〈手の外科〉も設けられるようになっている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「合指症」の意味・わかりやすい解説

合指症
ごうししょう
syndactyly

隣接する複数の指が癒合した状態で,先天性奇形の一つである。指間の皮膚のみが癒合しているものから,関節や骨なども癒合しているものまで,程度はさまざまである。原因は不明。機能的にも外観的にも,適当な時期に手術する必要がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の合指症の言及

【指】より

【田隅 本生】
[ヒトの指]
 指は各手足に5本ずつあるが,ときには多指症といって過剰指のあることがあり,また反対に隣接指が癒着して見かけ上指数が足りないこともある。これを合指症という。指の構造は指骨がその支柱をなし,その背側と手掌側(足では足底側)とに指を動かす筋肉の腱がついている。…

※「合指症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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