精選版 日本国語大辞典 「吉士」の意味・読み・例文・類語
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古代の氏(うじ)名、姓(かばね)の一つ。吉師、吉志、企師とも書く。古代朝鮮語では「王」の意で(『周書(しゅうじょ)』百済伝)、新羅の官位17等の第14位など朝鮮諸国の称号にも見える。渡来系氏族で、6世紀から7世紀には難波(なにわ)、草壁(くさかべ)、日鷹(ひたか)などを冠する吉士集団が難波周辺を本拠とし、主に対朝鮮諸国外交に活躍した。7世紀後半には他の氏の者も登用され、この面での吉士の役割は終わったが、8世紀以降も摂津国東生(ひがしなり)・西成(にしなり)両郡の郡領氏族として存続し、難波館(なにわのむろつみ)での外交儀礼を掌った。また阿倍氏に引率され、大嘗祭(だいじょうさい)には吉志舞を奏上した。
[森 公章]
『三浦圭一著「吉士について」(『中世民衆生活史の研究』所収・1981・思文閣出版)』▽『森公章著「古代難波における外交儀礼とその変遷」(『古代日本の対外認識と通交』所収・1998・吉川弘文館)』
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