吉岡実(読み)よしおかみのる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「吉岡実」の意味・わかりやすい解説

吉岡実
よしおかみのる
(1919―1990)

詩人。東京・本所に生まれる。幼少期彫刻家を志したが果たさず、出版社に勤務しつつ夜学に通い文学書に親しむ。1940年(昭和15)応召の年詩歌集昏睡(こんすい)季節』(私家版)刊。41年私家版詩集液体』、敗戦帰国後、50年(昭和25)『静物』を刊行し、その詩風の特異さで注目される。第二詩集『僧侶(そうりょ)』(1958)でH氏賞を受賞。59年清岡卓行(たかゆき)、大岡信(まこと)、飯島耕一(こういち)らと詩誌『鰐(わに)』を創刊。本の装丁家としても優れた仕事をしている。詩集はほかに『吉岡実詩集』(1959)、『紡錘形』(1962)、『吉岡実詩集』(1967、全詩集)、『静かな家』(1968)、『サフラン摘み』(1976。高見順賞受賞)、『薬玉(くすだま)』(1984。藤村記念歴程賞受賞)などがある。歌集には『魚籃』(1959)がある。

[原崎 孝]

『『新選吉岡実詩集』(1978・思潮社)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「吉岡実」の解説

吉岡実 よしおか-みのる

1919-1990 昭和時代の詩人。
大正8年4月15日生まれ。昭和16年詩集「液体」をのこして応召。戦後,「静物」で詩壇に登場する。34年H氏賞を受賞した「僧侶(そうりょ)」は現代詩のひとつの到達点とされる。装丁家としても活躍。平成2年5月31日死去。71歳。東京出身。作品に「サフラン摘み」(昭和52年高見順賞),「薬玉(くすだま)」(60年藤村記念歴程賞)など。

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