吉田温泉(読み)よしだおんせん

日本歴史地名大系 「吉田温泉」の解説

吉田温泉
よしだおんせん

[現在地名]えびの市昌明寺

矢岳やたけ高原の南麓、川内せんだい川支流ノ川の東側にある。約四キロ南方に京町きようまち温泉郷がある。昌明寺しようみようじの湯といわれ(三州御治世要覧)、かつて傷ついた鹿が湯にしばしばつかって傷を癒したことから、鹿しか湯ともよばれたという(宮崎県史蹟調査)

三国名勝図会」によると、背後は丘陵、前面は水田で温泉は岩底より湧出し、泉勢は激しい。岩をうがって浴池を二つ設け、松板で周りを囲み茅で覆って湯屋とし、南東に竹を利用して温泉を引き湯瀑とした。湯守一名が置かれていた。湯勢・湯温ともに常時変化せず、湯の色清白、味は少し渋味を帯び、効能は創傷・脚気火傷・血症など百病に妙効ありとされ、近郷のみならず肥後・日向の他領からも浴客が訪れた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「吉田温泉」の意味・わかりやすい解説

吉田温泉
よしだおんせん

宮崎県南西部、えびの市京町(きょうまち)地区、矢岳(やたけ)高原の山麓(さんろく)部に位置する温泉。戦国時代、薩摩島津(さつましまづ)氏が開いたといわれる。旅館数戸、共同浴場のあるひなびた温泉郷で、泉質京町温泉と同じ単純温泉である。背後は矢岳高原。JR都(きっと)線京町温泉駅より車。

[横山淳一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「吉田温泉」の意味・わかりやすい解説

吉田温泉
よしだおんせん

宮崎県南西部,えびの市にある温泉。加久藤盆地の北側,矢岳山のふもとに位置し,周辺の人たちの保養の場になっている。泉質は単純泉。泉温は 36~48℃。薩摩藩主の島津義弘が温泉の効果を知り,湯守をおいたのに始るといわれ,神経痛リウマチなどに効能が高い。矢岳高原は標高 700m。霧島山を一望する景勝地で,のどかな放牧風景が広がる。

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