普及版 字通 「向(漢字)」の読み・字形・画数・意味
向
常用漢字 6画
[字訓] まど・むかう
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 会意
(けい)(窓の形)+口。口は(さい)、祝詞を収める器の形。窓は神明を迎えるところ。そこに神を迎えて祀った。〔説文〕七下に「北に出づる(まど)なり。宀(べん)に從ひ、口に從ふ」とし、〔段注〕に口を窓枠の形とするが、窓枠は(けい)の形にしるす。古く地下形式の住居は、中央に空庭を設けて光を取り、そこから横穴式に四方に房を設けた。その窓明かりを神明にみたて、月光の入るところを(明)として祀った。〔儀礼、士虞礼記〕「(しゆく)、從ひて(いうきやう)を(ひら)く」とは、その窓を開くことをいう。はその向(まど)に(郷)(むか)う意。姓に用いるときは、ショウの音でよむ。
[訓義]
1. まど、神明を迎えるまどの形、きたまど。
2. むかう、すすむ、むきあう、したう。
3. ・と通じ、さきに。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕向 ムカフ・サキ・ナンナントス・イマシ・イタル・カミ・マサニ・ユクヘ/向來 イマシ・タダイマ〔字鏡集〕向 オモムク・ユクスヱ・マホル・イマシ・アツ・ムカフ・サキ・ムネ・イタル・マド・カミ・サキツカタ・サキニ
[声系]
は向(きよう)声。〔説文〕に載せず、後起の字。
[語系]
向・享・xiangは同声。獻(献)xianも声義に通ずるところがあり、向とはもと神明を迎える窓に享献を行うこと、その享献の場であった。
[熟語]
向隅▶・向者▶・向風▶・向物▶・向壁▶・向慕▶・向来▶・向例▶・向学▶・向後▶・向上▶・向背▶・向陽▶・向使▶
[下接語]
意向・一向・回向・下向・外向・帰向・傾向・参向・志向・指向・趣向・出向・趨向・性向・対向・転向・動向・内向・背向・偏向・方向・影向
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報