(読み)ふかす

精選版 日本国語大辞典 「吹」の意味・読み・例文・類語

ふか・す【吹】

〘他サ五(四)〙
① あること無いこととりまぜて景気よく言う。誇張して話す。口から出まかせに言う。吹聴する。
仮名草子竹斎(1621‐23)上「かやうに申せば、我身をふかしたるやうに思しめさんも恥しけれども」
② ひろめる。盛んにする。
浮世草子・好色一代男(1682)七「昔しの人の袖のかほるより、今の太夫まさりて、上林の家の風を吹(フカ)し侍る」
③ そのようにふるまう。とりたててそれらしくする。「兄貴風をふかす」
④ 吸った煙を吐き出す。特に、タバコの煙を深く吸いこまないで口の内に吸って出す。
※洒落本・金枕遊女相談(1772‐81頃)「まごゑもんをふかす」
⑤ 自動車や飛行機エンジンを速く回転させる。多く、空転でそれを行なう場合にいう。
※上と下(1958)〈井上友一郎〉弱い光り「ブルン、ブルンとひどくエンジンを吹かした上、車がのろのろと動き出した」

ふき【吹】

〘名〙 (動詞「ふく(吹)」の連用形名詞化)
① 風などが吹くこと。
※後撰(951‐953頃)秋下・四〇六「山風ふきのまにまにもみぢ葉はこのもかのもに散りぬべらなり〈よみ人しらず〉」
鍛冶屋などが用いるふいご。〔日葡辞書(1603‐04)〕
吹雪暴風雪
※春と修羅(1924)〈宮沢賢治〉春と修羅「吹雪(フキ)も光りだしたので」
金属などを熱して溶かすこと。鋳造すること。
多聞院日記‐天正一〇年(1582)二月五日「金子半枚の代廿五石并すわ〈一斗〉ふき〈一斗〉判〈一斗〉」

ふけ・る【吹】

〘他ラ四〙 他人に見せて誇る。見せびらかす。自慢する。
※日葡辞書(1603‐04)「チャワンヲ fuqeru(フケル)

ふっ【吹】

〘接頭〙 「ふき(吹)」の変化した語。動詞の上に付けて、勢いよく動作する意を表わす。「ふっとぶ」「ふっきる」など。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「吹」の意味・読み・例文・類語

すい【吹】[漢字項目]

常用漢字] [音]スイ(呉)(漢) [訓]ふく
息をふく。息をふいて楽器を鳴らす。「吹奏歌吹鼓吹
[名のり]かぜ・ふ・ふき・ふけ
難読息吹いぶき吹聴ふいちょう吹雪ふぶき

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android