吾君(読み)あがきみ

精選版 日本国語大辞典 「吾君」の意味・読み・例文・類語

あ‐が‐きみ【吾君】

連語
① 私の主君。御主人様。主人に対して親しんで呼ぶ語。
万葉(8C後)一九・四一六九「松柏(まつかへ)の 栄えいまさね 尊き安我吉美(アガキミ)
相手を親しんでいう呼び掛けの語。男女いずれにも対称代名詞のように用いる。中古になると、「あ」が特定語形にだけ残った結果、呼び掛けの意が強くなった。ねえあなた。
落窪(10C後)二「あが君あが君、夜さりだにうれしき目見せ給へ」
[語誌]平安以降、和歌ではワガキミは見えるが、アガキミは見えず、散文で用いられる場合はもっぱら②のように使われた。

あ‐ぎみ【吾君】

書紀(720)崇神一〇年九月(熱田本訓)「乃ち甲(よろい)を脱(ぬ)いで逃ぐ。不得免(えまぬかれまじ)きことを知りて、叩頭て『我君(アキミ)』と曰ふ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「吾君」の意味・読み・例文・類語

あ‐ぎ【×君】

[代]二人称人代名詞。親しみを込めて相手を呼ぶ語。あぎみ。あがきみ。
「いざ―振熊ふるくまが痛手負はずは」〈・中・歌謡

あ‐ぎみ【×吾君】

[代]あぎ」に同じ。
叩頭みて、―といふ」〈崇神紀〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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