呉須手(読み)ごすで

精選版 日本国語大辞典 「呉須手」の意味・読み・例文・類語

ごす‐で【呉須手】

〘名〙 (「手」は様式の意) 中国江西広東(カントン)地方の民窯で、明末・清初にかけて大量に焼かれた粗製磁器。また、その様式。素地は厚ぼったく灰白色で、黒ずんだ藍色染付を呉須染付、上絵が赤を主調としたものを呉須赤絵と呼び、江戸時代、文人茶人に愛好された。絵付などの共通した中国の景徳鎮の民窯で焼かれた粗放な染付の茶器をもいう。呉須手焼。呉須。
松屋会記‐久重茶会記・寛永一四年(1637)六月一三日「ほそきこす手の茶わん」

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デジタル大辞泉 「呉須手」の意味・読み・例文・類語

ごす‐で【呉須手】

中国の江西・福建広東カントン地方の民窯で明末から清初にかけて大量に焼かれた粗製の磁器。また、その様式。素地は厚ぼったく灰白色で、奔放な絵模様がある。呉須染め付け呉須赤絵呉須青絵などがあり、茶人・文人に愛好された。

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百科事典マイペディア 「呉須手」の意味・わかりやすい解説

呉須手【ごすで】

中国明時代後期〜末期にかけて,福建省【しょう】州窯で焼成された民窯の作品。素地に厚く白釉を施し,そこに濃厚な赤絵(五彩)文様を描く〈呉須赤絵〉,染付文様のみの〈呉須染付〉,または藍釉を総掛けした上に,白絵具の堆線で絵文様を表す〈餅花手(もちはなで)〉,褐釉を掛けた〈柿呉須(かきごす)〉と呼ばれる作風等が見られる。呉須手はこれらを総称した名称。盤や鉢類が多い。東南アジアや日本に向けて,16世紀末から17世紀前半ごろ大量に輸出された。

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