呑行為(読み)のみこうい(英語表記)bucketing

精選版 日本国語大辞典 「呑行為」の意味・読み・例文・類語

のみ‐こうい ‥カウヰ【呑行為】

〘名〙
① 証券業者や商品取引員が、顧客から取引委託を受けながら取引所へ取次がずに自分がその相手方となって直接に売買し、顧客に対しては委託どおり行なったのと同様の計算で決済すること。証券取引法および商品取引法により禁止されている。のみ。〔投機市場論(1926)〕
競馬競輪などで、法律で許された主催者以外の者が、勝手に馬券車券などの売買に該当する行為を行なうこと。法律で禁止されている。のみ。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「呑行為」の意味・わかりやすい解説

呑行為
のみこうい
bucketing

商品市場証券市場において,商品仲買人や金融商品取引所(証券取引所)の会員が,売買取引の委託を受けた売り付けや買い付けをせず,また売買取引の委託の媒介,取り次ぎ,代理を引き受けた者がその媒介,取り次ぎ,代理をせずに,自己がその相手方となって売買を成立させること。注文を呑(の)んで市場に出さないのでこの名称がある。以前は証券取引法および商品取引所法で禁止され,違反した場合は罰則のほか,登録取り消し,売買取引停止,業務停止などの処分が科された。しかし,事前の開示前提とした証券会社などの最良執行義務の導入にあわせ,2004年の証券取引法の改正で呑行為禁止の規定は削除された。2006年に成立した金融商品取引法にも禁止規定はない。ただし顧客に損害を与えることを意図した場合は詐欺罪となり,刑法の対象となる。なお,商品市場では引き続き禁止されている(商品取引所法212)。

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