和泉(読み)いずみ

精選版 日本国語大辞典 「和泉」の意味・読み・例文・類語

いずみ いづみ【和泉】

[一] (大和朝廷の御料地の頃、現在の和泉市の地に泉が湧き「和泉(にきいずみ)」または「いずみ」と呼ばれた) 畿内五か国の一つ。古くは茅渟(ちぬ)といい、河内国に属した。霊亀二年(七一六)これを三分して和泉監(げん)を置き、天平宝字元年(七五七)和泉国となる。鎌倉時代は北条氏、室町時代は細川氏が守護。江戸時代は幕府直轄地のほか二藩が置かれた。廃藩置県により堺県となり、明治一四年(一八八一)大阪府に編入泉州
[二] 大阪府南西部地名。和泉国府が置かれた所。黄金塚(こがねづか)古墳、松尾寺がある。「和泉白木綿」は有名。大阪の衛星工業都市。昭和三一年(一九五六)市制。
[三] 大阪府の南西部にあった郡。明治二九年(一八九六)大鳥郡と合併して泉北郡となる。
[四] 能狂言の一流派「和泉流」の略。

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デジタル大辞泉 「和泉」の意味・読み・例文・類語

いずみ〔いづみ〕【和泉】

旧国名の一。五畿に属し、現在の大阪府南部にあたる。泉州。
大阪府南部の市。中心の府中は、もと和泉国の国府の地。綿布ガラス工業が盛ん。信太しのだの森がある。人口18.5万(2010)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「和泉」の意味・わかりやすい解説

和泉
いずみ

福井県最東端、大野郡(おおのぐん)にあった旧村名(和泉村(むら))。現在は大野市の南東部を占める地域。九頭竜(くずりゅう)川の上流に位置する。1956年(昭和31)上穴馬(かみあなま)村、下(しも)穴馬村が合併し和泉村と改称。1958年石徹白(いとしろ)村の一部を編入。2005年(平成17)大野市に編入。1963年、九頭竜川電源開発工事のため、旧上穴馬村の全域および下穴馬村の2集落の住民が岐阜、愛知県に移住した。旧村域の中央部に九頭竜ダム(1968年完成)があり、東から西に貫流する九頭竜川に沿って国道158号が走り、岐阜県との境にある油坂峠で中部縦貫自動車道と接続する。また旧村の中心である朝日までJR越美北線(えつみほくせん)が開通している。耕地は全面積の2%程度で、おもな産業は観光である。恵まれた自然環境を生かして国民休養地、温泉、スキー場などがある。九頭竜川の支流、大納(おおの)川上流に鉛、亜鉛を産した中竜(なかたつ)鉱山があったが、1987年に休山。

[印牧邦雄]

『『和泉村史』(1977・和泉村)』


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改訂新版 世界大百科事典 「和泉」の意味・わかりやすい解説

和泉[市] (いずみ)

大阪府南西部,堺市の南に接する市。1956年和泉町と南池田,北池田,南松尾,北松尾,南横山,横山の6村が合体,市制。人口18万4988(2010)。市域は南北方向に延び,南の和泉山脈から泉北丘陵が北へ広がって信太山にいたり,槙尾川と松尾川がこの丘陵・台地を開析している。JR阪和線が通じる中心の府中町にある泉井上神社境内の〈和泉清水〉は和泉の国名の発祥地で,奈良・平安時代にはここに和泉国府が置かれ,熊野街道(小栗街道)が南北に通過していた。江戸時代の伯太(はかた)は渡辺氏の伯太藩陣屋町であった。江戸時代からの和泉木綿の伝統を継承して綿織布工場が多く,また毛織物,模造真珠,ガラス細工の工業と婦人子供既製服工場団地がある。阪和線沿いの住宅開発に続いて,市域北東部の光明池周辺の丘陵が泉北ニュータウンに入り,1977年泉北高速鉄道が開通して宅地造成が急速に進められた。阪和自動車道の岸和田和泉インターチェンジがある。市内には農業用溜池が多く,丘陵地農村ではミカン,花などを生産し,南部の槙尾山付近は金剛生駒国定公園に属している。
執筆者:

和泉(福井) (いずみ)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「和泉」の意味・わかりやすい解説

和泉
いずみ

福井県東部,大野市南東部の旧村域。九頭竜川の最上流域にある。 1956年上穴馬村と下穴馬村が合体して和泉村が成立。 1958年石徹白村の一部を編入。 2005年大野市に編入。地名は旧村の和と九頭竜川水源の泉から命名。石灰洞があり,ここから白馬が飛び出したという伝説から,古来穴馬郷 (あなまごう) と呼ばれた。林業と観光が主産業。浄土真宗信仰の原初的形態が保たれていたことで知られたが,九頭竜川の電源開発で多くの集落が水没,離散した。九頭竜ダムは発電,灌漑に利用されるほか,観光客も多く訪れる。白馬洞や大垂滝などの見どころもある。伊月の手取層群から恐竜化石が発見されている。西部にはかつて国内有数であった亜鉛鉱山の中竜鉱山があり,1987年まで採掘されていた。

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