小説家、評論家。北海道長万部(おしゃまんべ)町生まれ。中央大学独法科卒業。編集者として勤務するかたわら、小説執筆や樋口一葉(ひぐちいちよう)の研究に情熱を燃やした。第二次世界大戦後、『一葉全集』全七巻(筑摩書房)の編集に全力を傾注するとともに、日本芸術院賞を受賞した『一葉の日記』(1956)をはじめとする多くの伝記や研究をまとめあげた。1963年(昭和38)には1人の娼婦(しょうふ)のその後の生を描いた『塵(ちり)の中』で直木賞を受賞、作家としても自立した。以後、74年に『接木(つぎき)の台』で第26回読売文学賞、77年には『暗い流れ』で第9回日本文学大賞を受賞するなど、作家として円熟ぶりを示した。
[山田有策]
『『和田芳恵全集』全五巻(1978~79・河出書房新社)』▽『『接木の台』『暗い流れ』(集英社文庫)』▽『『一葉の日記』(福武文庫)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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