和蕃公主(読み)ワバンコウシュ(英語表記)Hé fān gōng zhǔ

デジタル大辞泉 「和蕃公主」の意味・読み・例文・類語

わばん‐こうしゅ【和×蕃公主】

中国前漢代に、西域などに住む異民族の君主を懐柔するために嫁がせられた王族または皇族女性匈奴きょうどに嫁した王昭君が有名。

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改訂新版 世界大百科事典 「和蕃公主」の意味・わかりやすい解説

和蕃公主 (わばんこうしゅ)
Hé fān gōng zhǔ

中国史上,周辺の外族を懐柔するため降嫁させられた王族女子。公主プリンセスの意。前漢代に烏孫王に遣わされた細君以下,北周から突厥(とつくつ)可汗に送られた千金公主(のち隋の大義公主),唐初吐蕃ソンツェン・ガンポに嫁した文成公主等が名高い。中国側の武力的劣勢をカバーするため遊牧諸族の意向を受け入れ降嫁したもので,王族といっても疎遠なものや養女の場合もあった。しかしこれが漢文化浸透の契機となった点も看過しえない。
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山川 世界史小辞典 改訂新版 「和蕃公主」の解説

和蕃公主(わばんこうしゅ)

政略上から外民族の君長に嫁した公主(天子の娘)。王昭君(匈奴(きょうど)),細君(烏孫(うそん)),義生(ぎせい)公主(突厥(とっけつ)),文成(ぶんせい)公主(吐蕃(とばん)),寧国(ねいこく)公主・咸安(かんあん)公主・大和(だいわ)公主(ウイグル)などがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「和蕃公主」の意味・わかりやすい解説

和蕃公主
わばんこうしゅ

政略上、異民族の君長に嫁いだ中国の公主。公主とは天子の娘または皇族の女子をさす。王昭君(匈奴(きょうど))、細君(さいくん)・解憂(かいゆう)公主(烏孫(うそん))、義成公主(突厥(とっけつ))、文成公主(吐蕃(とばん))、寧国(ねいこく)公主・咸安(かんあん)公主・大和公主(以上ウイグル)などがある。和蕃公主は異民族の間へ中国文化を浸透させるうえで大きな役割を果たした。突厥碑文ハガン妻妾(さいしょう)・娘などをクンチュイqunchuyと称するのは、公主の語がなまったものである。

[護 雅夫]

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