唐寅(読み)トウイン(英語表記)Táng Yín

デジタル大辞泉 「唐寅」の意味・読み・例文・類語

とう‐いん〔タウ‐〕【唐寅】

[1470~1523]中国、明代の文人画家。呉県(江蘇省)の人。あざなは伯虎。号、六如居士りくじょこじなど。沈周しんしゅう文徴明らとともに明代四大画家の一人で、特に美人画は有名。書や詩にもすぐれた。

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精選版 日本国語大辞典 「唐寅」の意味・読み・例文・類語

とう‐いん タウ‥【唐寅】

中国、明の文人画家。字(あざな)は伯虎。号は六如・桃花菴主など。呉県(江蘇省蘇州)の人。文徴明らとともに、呉中四才子の一人。絵画にすぐれ、特に山水画は有名。著に「唐伯虎集」がある。(一四七〇‐一五二三

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改訂新版 世界大百科事典 「唐寅」の意味・わかりやすい解説

唐寅 (とういん)
Táng Yín
生没年:1470-1523

中国,明代中期の文人画家。字は伯虎,のちに子畏と改めた。号は六如居士,桃花庵主など。呉郡(江蘇省呉県)の人。弘治11年(1498)の郷試に解元(首席)となったが,翌年の会試で不正事件に連座して獄に付され,帰郷後は仏教に帰依して六如居士と号する一方,みずから〈江南第一風流才子〉と称し,放縦な生活を送った。蘇州では沈周しんしゆう),祝允明(しゆくいんめい),文徴明,徐禎卿,張霊などの文人と親しく交わり,大きな影響を受けた。また1514年(正徳9),寧王宸濠(しんごう)に招かれ南昌に赴いたが,翌年帰った。画は職業画家の周臣に学んで,李唐,劉松年,李(成)郭(煕)派を取り入れた北宗風の細筆山水・人物をかき,文徴明などの呉派南宗画と区別し,仇英とともに院派に数えられることもある。しかし早年には沈周に学んだ形跡も認められ,晩年は南北両宗を折衷した独自の画風を打ち立てた。詩文にも秀でて呉中四才子の一人であり,《六如居士全集》がある。代表作《山路松声図》(台北故宮博物院)。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「唐寅」の意味・わかりやすい解説

唐寅
とういん
(1470―1523)

中国、明(みん)代中期の文人。画家としても沈周(ちんしゅう)、文徴明(ぶんちょうめい)、仇英(きゅうえい)らとともに明代を代表する。字(あざな)は伯虎(はくこ)。号は六如居士。呉県(江蘇(こうそ)省蘇州(そしゅう))の人。奔放な才気、秀抜な詩風で徐禎卿(じょていけい)、祝允明(しゅくいんめい)、文徴明とともに呉中四才子といわれ、自ら第一風流才子と称したという。才能に恵まれ、1498年(弘治11)に郷試(きょうし)に首席で合格、翌1499年の会試では当然合格するはずのところ、不正事件に巻き込まれて処罰され、前途を打ち砕かれた。その後、才を惜しんで招く者もいたが、仕官せず自由気ままな生活を送り、晩年郷里に桃花庵(あん)を設けて風流韻事をもっぱらとし、書画を売って生活した。画(え)は初め周臣の門に学び、また沈周にも私淑して、李成(りせい)をはじめ宋(そう)の院体画家のほか、元末の四大家に至るまで研究し、北宗画と南宗画を融合した優れた山水画を生み出した。その制作態度、教養からも文人画家であったが、画風は北宗院体派に属し、院派とよばれ、『江山驟雨(しゅうう)図』などの傑作がある。著書には『唐伯虎集』4巻がある。

[星山晋也]


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百科事典マイペディア 「唐寅」の意味・わかりやすい解説

唐寅【とういん】

中国,明代の画家。字は伯虎,子畏。号は六如居士。幼少時から俊才をうたわれたが,生涯放恣(ほうし)な生活を送った。画は,初め院派の周臣に学んだが,のち馬遠夏珪沈周文徴明などを学んで南北両宗の混交した画風を打ち立てた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「唐寅」の意味・わかりやすい解説

唐寅
とういん
Tang Yin

[生]成化6(1470).2.4.
[没]嘉靖2(1523).12.2.
中国,明の文人画家。呉県 (江蘇省蘇州) の人。字は伯虎,子畏,号は六如など。弘治 11 (1498) 年郷試に首席で合格したが,会試で不正事件に連座して処罰され,以後,奔放不羈な一生をおくった。絵は周臣や南宋院体画,元の李郭派の影響を受けたが,のちには南宗画の要素も取入れた。輝映するような画面は,その形態の奔放さと相まって独自のものといえる。また詩文にもすぐれ,徐禎卿,祝允明,文徴明らとともに「呉中四才子」といわれた。著書に『唐伯虎全集』がある。

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世界大百科事典(旧版)内の唐寅の言及

【周臣】より

…字は舜卿,号は東村,蘇州(江蘇省)の人。仇英,唐寅の師。この師弟3人を併せて,宋代院体画風に連なるという意味で院派と呼ぶ。…

※「唐寅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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