唐獅子(読み)からしし

精選版 日本国語大辞典 「唐獅子」の意味・読み・例文・類語

から‐しし【唐獅子】

〘名〙 (「からじし」とも)
ライオン獅子。日本に産する猪(いのしし)、鹿(しし)と区別して、外国産のしし(獣)の意。
浄瑠璃大職冠(1711頃)一「からししの毛ぶとん卅枚」
② 獅子を美術的に装飾化したもの。絵画彫刻に多い。古くから行なわれたが、特に桃山期に盛ん。
高野山文書‐応永一八年(1411)九月二〇日・天野社造営料足結解状「色々買物目録 〈略〉一佰文 四御殿の斬付の唐鹿代」
紋所の名。獅子の形の紋。
浮世草子懐硯(1687)五「十七八なる若衆空色の小袖に唐鹿(カラシシ)の紋所」

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デジタル大辞泉 「唐獅子」の意味・読み・例文・類語

から‐じし【唐×獅子】

《「から」は外国風の意。「からしし」とも》
獅子をいのしし鹿ししと区別した呼び名。
獅子を美術的に装飾化・図案化したもの。特に、桃山時代から盛んになった。屏風びょうぶ衝立ついたて襖絵ふすまえなどに多い。

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改訂新版 世界大百科事典 「唐獅子」の意味・わかりやすい解説

唐獅子 (からじし)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の唐獅子の言及

【獅子】より

…他にも正倉院の〈紫地獅子奏楽文錦〉の獅子奏楽文をはじめ,獅子遣い文,獅子頭文,獅子丸文,獅子の丸蛮絵などがある。松平 美和子
[唐獅子]
 獅子(ライオン)を〈猪(しし)〉〈鹿(しし∥かのあし)〉などと区別して唐獅子と呼ぶこともあったが,中国伝来の幻想動物としての〈唐獅子〉は,頭側部両側や頸部,尾を火焰状に渦巻く多量の毛で覆い,胴体,四肢に数個の文様を散らした特異な形状容姿で伝わっている。こうした概念や形状を最初に日本にもたらしたのは9世紀渡来の密教両界曼荼羅図であると考えられる。…

【スフィンクス】より

…アッシリアのラマッスのような有翼獣像は古代ペルシア美術,とりわけアケメネス朝期彩色浅浮彫に見られる。これらの神話的イメージは一方ではライオンの変形として東方に伝播し,ついには日本の唐獅子となり,他方では有翼の神として各種の天使像,さらには東洋の飛天像にも影響を及ぼした。 他方,ギリシアの伝説ではスフィンクスを蛇女エキドナと犬のオルトロスの子とするもの(ヘシオドスの《神統記》),テーバイ王ライオスの娘(庶子)とするものなどがあり,最も有名なものはオイディプス伝説の一部を成している。…

※「唐獅子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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