精選版 日本国語大辞典 「商神」の意味・読み・例文・類語
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商売守護の神の総称。商業都市が形成されて、生活基盤を得るようになった商人によって支えられた信仰。その方法は、講を組織したり、屋敷内に祠(ほこら)を設けたりいろいろである。京都市伏見(ふしみ)の稲荷(いなり)神や兵庫県西宮のえびす神、島根県出雲(いずも)の大黒神などが多くの信仰を集めた。えびす神は元来漁業の守護神であったものが、七福神の一つとして商業守護神となっていったものである。同業によるえびす講の結成は中世末期から現れているが、江戸中期以降、京坂の誓文払い、江戸の戎(えびす)講は呉服商を中心に、大売り出しを行うようになった。10月20日の講に対して、1月10日あるいは20日を十日えびす、初えびすという。
商神を広く職業の神とみなせば、酒造業者には京都市の松尾(まつのお)大社、奈良県の大神(おおみわ)神社が、漁業従事者には香川県の金刀比羅(ことひら)宮、宮城の塩竈(しおがま)神社、大阪市の住吉(すみよし)神社が祀(まつ)られており、中国地方の鍛冶(かじ)屋やたたら師は金屋子(かなやご)神に厚い信仰を寄せている。また、炭焼きや木こりの山神講、大工や桶(おけ)屋の太子講、馬方の観音講、牛方の大日講など、職業仲間によって営まれる講もあった。
[佐々木勝]
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