啐啄(読み)ソッタク

デジタル大辞泉 「啐啄」の意味・読み・例文・類語

そっ‐たく【××啄】

《「啐」はひなが卵の殻を破って出ようとして鳴く声、「啄」は母鳥が殻をつつき割る音》
禅宗で、導く師家しけ修行者との呼吸がぴたりと合うこと。
またとない好機
利家も内々かく思ひ寄りし事なれば、―に同じ」〈太閤記・四〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「啐啄」の意味・読み・例文・類語

そっ‐たく【啐啄】

〘名〙 (「そつ」は「啐」の慣用音。「啐」は鶏卵孵化(ふか)しようとするとき雛が殻を内からつつくこと、「啄」は母鶏がそれに応じて外から殻をつつくことの意)
① 禅宗で、機を得て学人と師家との両者の心が投合することにたとえる。しゅったく。
正法眼蔵(1231‐53)面授「一祖、一師、一弟子としても、あひ面授せざるは、仏々祖々にあらず。〈略〉また啐啄の迅機なるなり」 〔文明本節用集(室町中)〕 〔碧巖録‐二・一六則〕
② 逸してはならない好機。それぞれがぐあいよく合致して、それをのがすと他には得られなくなるような機会や時。しゅったく。
※伊達家文書‐(天正一〇年カ)(1582か)三月一四日・小田野義忠書状「啐啄之御届、本望被存候」
信長記(1622)一四「誠に上下啐啄(ソッタク)の時こそ、いと宜しく見えたりける」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android