善の綱(読み)ゼンノツナ

デジタル大辞泉 「善の綱」の意味・読み・例文・類語

ぜん‐の‐つな【善の綱】

《善所に導く綱の意》
万日供養や開帳のとき、仏像の手などにかけて参詣者などに引かせる5色の綱。仏にすがる意を表すという。
葬式のとき、棺につないで引く白布の綱。

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精選版 日本国語大辞典 「善の綱」の意味・読み・例文・類語

ぜん【善】 の=綱(つな)[=縄(なわ)

(善所にみちびく綱の意)
① 本尊開帳・常念仏・万日供養などのとき、結縁(けちえん)のため仏像の手などにかけ、参詣者などに引かせる綱。五色の糸を用いるのが常である。
曾我物語(南北朝頃)一〇「つけたる縄は、孝行のぜんのつなぞ。おのおの結縁にてかけ候へ」
② 葬式のとき、棺に付けて引く白布の綱。縁の綱。
※新撰長祿寛正記(15C後か)「同八月八日の暁、高倉御所にて御他界あり〈略〉御力者十二人御棺を舁奉る。〈略〉将軍家も、ぜんのつなを御肩に置せ玉」

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「善の綱」の解説

善の綱
(通称)
ぜんのつな

歌舞伎浄瑠璃外題
元の外題
けいせい善の綱
初演
元禄13.1(京・甚兵衛座)

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世界大百科事典(旧版)内の善の綱の言及

【葬式】より

…たいまつ,花籠,四本旗,僧侶,盛物,樒(しきみ),傘,杖,位牌,膳飯,灯籠,棺,天蓋,会葬者の順でソウレン道を通って埋葬地まで行く。棺には善の綱が巻かれそれに婦人がつくこともある。兵庫県朝来郡朝来町では夫を失った妻はかずきをかぶり,冬でも白足袋のはだしでついて行く。…

※「善の綱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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