営倉(読み)エイソウ

デジタル大辞泉 「営倉」の意味・読み・例文・類語

えい‐そう〔‐サウ〕【営倉】

軍律違反などに問われた軍人を収容する兵営内の施設。また、そこに収容される懲罰。旧日本陸軍では、重営倉軽営倉があった。

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精選版 日本国語大辞典 「営倉」の意味・読み・例文・類語

えい‐そう ‥サウ【営倉】

〘名〙 旧軍隊で、罪を犯した軍人を拘禁する、兵営内の建物。また、そこに入れられる罰。重営倉と軽営倉とがあった。
葬列(1906)〈石川啄木〉「軍隊なら営倉ぢゃ」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「営倉」の意味・わかりやすい解説

営倉
えいそう

1872年(明治5)制定の陸軍懲罰令により定められた日本陸軍の懲罰の種類およびその施設。懲罰としての営倉は、個々の隊長裁量に基づく行政処分で、命令違反、任務放棄、兵器損失、脱走、私的闘争など、軍人の本分に反した兵卒を個室に拘禁したもの。禁錮の日数は1日以上30日未満。重営倉と軽営倉の2種あり、重営倉は寝具を与えず3日のうち2日は飯、塩、湯のみを給し、重・軽いずれも日中は横になることが禁じられた。施設としての営倉は格子施錠(せじょう)のある小部屋で、主として隊内の衛兵所の裏手に位置し、厳しく監視された。なお日本海軍には営倉はなく禁錮室、拘禁所がこれにあたる。

[寺田近雄]

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世界大百科事典(旧版)内の営倉の言及

【軍事司法制度】より


[軍刑法によらない処分(懲戒罰)]
 多くの国では軍人等の比較的軽易の非行に対し軍事司法手続とは別に指揮官等による懲戒罰の制度がある。旧日本軍には陸・海軍各懲罰令(1911)があり,陸軍では将校には重・軽謹慎(1~30日,減給併科),譴責,下士官には免官,譴責,重・軽謹慎,兵には降等,重・軽営倉(1~30日)があり,師団長以上は一切の権限を持ち,旅団長~中隊長は限られた権限を持っていた。海軍では准士官以上には謹慎(60日以内),下士官および兵には拘禁(30日以内),禁足(60日以内)があり,大臣,長官(軍令部総長,鎮守府司令長官等),所轄長(艦船,部隊,官衙,学校の長等),分隊長が権限を持っていた。…

※「営倉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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