デジタル大辞泉
「営」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
いとなみ【営】
〘名〙 (動詞「いとなむ(営)」の連用形の名詞化)
① 忙しく物事をすること。いとなむこと。
仕事。つとめ。
※
源氏(1001‐14頃)
帚木「暇なき折りに菊の露をかこち寄せなどやうのつきなきいとなみに逢はせ」
※源氏(1001‐14頃)
夕顔「いとあはれなるおのがじしのいとなみに、起き出でて、そそめきさわぐも、程なきを」
※
随筆・北越雪譜(1836‐42)初「手を空くせざるのみの活業
(イトナミ)なり」
※枕(10C終)九八「いとなみいつしかと待つ事の、さはりあり、俄かにとまりぬる」
※天理本金剛般若経集験記平安初期点(850頃)「常に波若を以て務(イトナミ)と為し」
⑤ 男女関係、性生活などにいう。「愛の営み」
いとな・む【営】
〘他マ五(四)〙 (
形容詞「いとなし」の
語幹の動詞化したもの)
① 忙しく物事をする。あれこれ整えて、怠ることなく物事に務める。「いとなみおもう」「いとなみかしずく」「いとなみたつ」などと熟して用いられることが多い。
※東大寺諷誦文平安初期点(830頃)「
猟師は通夜覔而
(イトナミて)」
② 生活のために仕事をする。経営する。
※霊異記(810‐824)下「俗に即きて家を収め、産業(なりわい)を営(イトナミ)造る。〈真福寺本訓釈 営造 意東那三〉」
③ 作り整える。また、物事の準備をする。
※
古語拾遺(亮順本訓)(807)「其に力を戮
(あは)せて、心を一にして
天下を経営
(イトナム)(〈別訓〉ツクル)」
※
愚管抄(1220)六「入内せんとて、院にも申つついとなませける程に」
④ 神事、仏事を行なう。
※高野本平家(13C前)灌頂「おりおりの
御仏事営
(イトナミ)給ふぞ」
えい【営】
〘名〙
① いとなみ。仕事をすること。
現代では、
多く「営業・経営・
自営・民営」など熟合した形で用いられる。〔
韋応物‐幽居詩〕
※続日本紀‐天平一二年(740)九月戊申「将
二隼人廿四人并軍士四千人
一以
二今月廿二日
一発渡、令
レ鎮
二板樻営
一」 〔
史記‐淮陰侯伝〕
いさ・む【営】
※猿投本文選正安四年点(1302)「何によてか遽
(すみ)に
陵墓を営
(イサム)(〈別訓〉イトナマム)」
いとな・ぶ【営】
※冥報記長治二年点(1105)下「吾れ死なば、以て為に殉(イトナフ)べし」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報