四季の詠(読み)しきのながめ

改訂新版 世界大百科事典 「四季の詠」の意味・わかりやすい解説

四季の詠(眺) (しきのながめ)

長唄,地歌・箏曲,山田流箏曲の曲名。(1)四季の詠 長唄の曲名。作詞末広。作曲12世杵屋(きねや)六左衛門本名題《御注文色取隅田川(ごちゆうもんいろどりすみだがわ)》,1872年(明治5)初演。春の隅田川の桜に始まり,花川戸の雪の描写まで四季おりおりの隅田川付近の風物をまとめた作品。(2)四季の眺 地歌・箏曲の曲名。三弦は松浦検校,箏は八重崎検校作曲の京風手事物。《宇治巡り》《深夜の月》《四つの民》とで〈松浦四つ物〉とされる。歌詞は大坂の両替商の殿村平右衛門の作で,四季の風物を古歌を引きながら1章ずつ四季の順に並べている。夏を除き〈……たるおもしろさ〉で結び,間奏が入る。夏は〈語らばや〉と変則的に結んで,長い手事が続く。(3)四季の詠 山田流箏曲の曲名。山登万和(まんわ)(1853-1903)作曲の初学者向きの曲。(2)と同じく四季の風物をうたったもの。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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