四知(読み)しち

精選版 日本国語大辞典 「四知」の意味・読み・例文・類語

し‐ち【四知】

〘名〙
① (後漢の楊震が荊州刺史に赴任するとき、人から金一〇斤を贈られ、暮夜知る者無しといわれた時、震は、天知り、地知り、我知り、子(相手)知る、と答えてそれを受けなかった故事で、それを記した「後漢書‐楊震伝」の賛に「震畏四知、秉去三惑」とあるのによる) 二人の間の密事でも必ず他にもれることをいう語。
※九冊本宝物集(1179頃)一「ここをもって、やうしんは四知をはぢてとらず」 〔王融‐浄行頌・沈冥地獄篇頌〕
② 金(かね・きん)異称。〔色葉字類抄(1177‐81)〕

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デジタル大辞泉 「四知」の意味・読み・例文・類語

し‐ち【四知】

《「後漢書」楊震伝から》二人だけの秘密といっても、すでに天が知り、地が知り、自分が知り、相手が知っているの意。どんなに秘密にしていてもいつかは他に漏れるということ。

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普及版 字通 「四知」の読み・字形・画数・意味

【四知】しち

秘密は必ずあらわれる。〔後漢書、楊震伝〕王密~夜に至りて金十斤を懷(ふところ)にし、以て震に(おく)る。(震、受けず)密曰く、夜知る無(なか)らんと。震曰く、天知る、知る、我知る、子(し)知る。何ぞ知る無しと謂はんやと。密、愧(は)ぢて出づ

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故事成語を知る辞典 「四知」の解説

四知

[参照] 天知る、地知る

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世界大百科事典(旧版)内の四知の言及

【医者】より

…仏教色を一掃して医術の根本理念を儒学の慈仁に求め,察証弁治の治療心得を強調した。神,聖,功,巧の四知(望,聞,問,切の四診)を励行して病因を察したばかりか,急性と慢性疾病の区別を明確にし,年齢や性別,生活環境のちがいに応じて臨機応変に合理的治療を行った。その医術は《啓迪(けいてき)集》に集約されている。…

※「四知」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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