回復室(読み)かいふくしつ(英語表記)recovery room

翻訳|recovery room

改訂新版 世界大百科事典 「回復室」の意味・わかりやすい解説

回復室 (かいふくしつ)
recovery room

手術直後の患者は麻酔からの覚醒が不十分であり,呼吸循環状態が不安定であるため,一般病棟に戻る前に注意深い監視が必要な時期がある。手術室に併設され,術直後の患者を収容し,集中的に管理する施設を回復室と呼ぶ。麻酔からの回復期にある患者を収容するので回復室と呼ばれている。回復室は通常,麻酔科医が管理運営し,術直後患者の管理になれた看護婦,技能員を配置する。各種監視装置を設置し,呼吸,循環,中枢神経機能を一定間隔で測定記録する。術直後に発生するいかなる異常事態も直ちに発見され,適切に処置されるだけではなく,これを未然に防ぐよう管理される。術直後の患者が回復室で管理されるのは術後6時間以内で,麻酔科医の判断で一般病室に搬送される。より長時間の集中管理を要するものはICUに移されるのが一般的手順である。回復室こそICUの起源であり,日本で初めて設立されたのは1950年代である。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android