因果物語(読み)インガモノガタリ

デジタル大辞泉 「因果物語」の意味・読み・例文・類語

いんがものがたり〔イングワものがたり〕【因果物語】

江戸前期の仮名草子鈴木正三作。寛文元年(1661)刊。仏教因果話中心に、諸国怪異奇談を談義調でつづったもの。片仮名本3巻は義雲・雲歩編。先に出た平仮名本6巻は恵中編か。

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精選版 日本国語大辞典 「因果物語」の意味・読み・例文・類語

いんが‐ものがたり イングヮ‥【因果物語】

[1] 因果応報の事を題材とした物語。
浮世草子世間胸算用(1692)三「因果(イング)物かたりの書物、くり返しくり返し読つづけて」
[2] 江戸前期の仮名草子。鈴木正三編述。寛文元年(一六六一板行の三巻の片仮名本と、寛文年間(一六六一‐七三)板行の六巻の平仮名本がある。正三が、仏法談義のための材料として、怪異譚・因果譚を収集したもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「因果物語」の意味・わかりやすい解説

因果物語
いんがものがたり

江戸初期の仮名草子。鈴木正三(しょうぞう)の遺稿弟子の義雲(ぎうん)、雲歩(うんぽ)両名が刊行した片仮名交じり本。3巻(先に出た絵入り平仮名十一行本6巻は了意筆)。1661年(寛文1)刊。各説話ともに正三自身が見聞した諸国の怪異譚(たん)で、すべて仏教的因果応報の事実として、時、処(ところ)、名などを掲げ「聞ク人慥(たし)カニ語ル也(なり)」「見タル人多シ」などと言い添えてリアリティを強調している。しかし、その意図された教訓性よりも、むしろ説話的興味によって世に迎えられ版を重ねた。西鶴(さいかく)の『新因果物語』、青木鷺水(ろすい)の『近代因果物語』などその名を冠した作が多く行われた。

[青山忠一]

『『因果物語』(片仮名本・1962・古典文庫)』

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「因果物語」の解説

因果物語
(通称)
いんがものがたり

歌舞伎浄瑠璃外題
元の外題
女執心因果物語
初演
宝永2.3(大坂・岩井座)

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