図鑑(読み)ずかん

精選版 日本国語大辞典 「図鑑」の意味・読み・例文・類語

ず‐かん ヅ‥【図鑑】

〘名〙 絵や写真を主にして、物事をわかりやすく説明した書物植物図鑑動物図鑑など。
水族館踊子(1930)〈川端康成〉一「先づ動物の図鑑(ヅカン)を準備しておく」

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デジタル大辞泉 「図鑑」の意味・読み・例文・類語

ず‐かん〔ヅ‐〕【図鑑】

絵や写真を中心にしてその事物実際の形などを示しながら解説した書物。「植物図鑑
[類語]図譜図録

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「図鑑」の意味・わかりやすい解説

図鑑
ずかん

博物学の動・植・鉱物などの全品種を分類して配列し、各品種につき形状を詳細に説明し、実物を写生または写真によって具体的に示したもの。中国では「本草(ほんぞう)学」が古くから研究された。版本では、宋(そう)の紹興29年(1159)序のある『経史証類備急本草』に細密な図がある。

 日本では江戸時代に本草研究が盛んになり、江戸初期に中村惕斎(てきさい)、末期毛利梅園(ばいえん)、栗本丹州(たんしゅう)(1756―1834)らが精細な写生図を多く残している。版本としては、丹州著『皇和魚譜』に富山侯前田利保(としやす)著『本草通串(つうかん)証図』(1853・嘉永6)、宇田川榕菴(ようあん)著『植学啓原』(1834・天保5)、蘭学(らんがく)精密図入り平賀源内著『物類品隲(ひんしつ)』(1763・宝暦13)などがある。江戸の魚商奥倉辰行(たつゆき)の『水族写真』(1857・安政4)はきわめて鮮麗である。明治になると1874年(明治7)に東京大学理科大学の伊藤圭介(けいすけ)編『日本植物図説』草部が出た。また翌年には、1856年(安政3)から62年(文久2)にかけて飯沼慾斎(よくさい)が著した『草木図説』を、田中芳男と小野職懿(もとい)が改訂増補した『新訂草木図説』が出版され、91年(明治24)になると、牧野富太郎の『日本植物志図篇(へん)』11集が出版された。しかし、「図鑑」と命名されたものは牧野の『日本植物図鑑』(1907・明治40)が最初で、これは現在も改訂刊行され、『新日本植物図鑑』として利用されている。なお、スウェーデンの植物学者ツンベルクは『日本植物誌』Icones plantarum Japonicarum(1794~1805)を出しているが、これによって日本の植物の学名が決定された。

[彌吉光長]

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図書館情報学用語辞典 第5版 「図鑑」の解説

図鑑

編集方針に基づいて特定の主題や分野の事物や生物を選択し,その名称を見出しとして系統的に排列し,それぞれの形態,構造,色彩などの情報が視覚的に理解できるように,絵や写真,図表などを主体に編集したレファレンスブック.文章だけでは理解しにくい主題や分野について,簡潔な解説とともに具体的な絵や写真で説明することを目的としている.また,項目間の参照のため,例えば生物図鑑などでは,分類順排列に対し,和名索引,学名索引,欧名索引などが付されている.

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普及版 字通 「図鑑」の読み・字形・画数・意味

【図鑑】ずかん

図説。

字通「図」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の図鑑の言及

【博物学】より

…なお,明治,大正から昭和初年にかけて,小・中学校の学科として博物学があり,動・植物学,鉱物学,地質学が教えられた。【浦本 昌紀】
【探検と図譜】
博物学ないし自然史は,標本を採集したり現地観察を行うための探検旅行と,その成果を記録し流布させる文献,とりわけ図鑑・図譜の制作の進展に並行して発達した。アリストテレスを頂点とする古代の博物学が大きな発展を示したのも,アレクサンドロス大王の東征に見られるような大規模な文化交流が実施されたことが一因である。…

※「図鑑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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