国家信用(読み)こっかしんよう(英語表記)public credit
Kredit der Nation[ドイツ]

改訂新版 世界大百科事典 「国家信用」の意味・わかりやすい解説

国家信用 (こっかしんよう)
public credit
Kredit der Nation[ドイツ]

公信用とも呼ばれる。国家借手または貸手となって取り結ぶ信用関係をさし民間の金融関係をさす私的信用(私信用)と対比される用語である。すなわち,公債(〈国債〉の項も参照),国家金融事業,国家による債務保証,財政投融資活動などを含む,国家と民間における資金の貸借または債権債務関係を総称したものである。国家信用は,基本的には租税あるいは租税承認権にその基礎をおいており,私的信用が貸付資金が企業資本として使用されて生み出される利潤に基礎をおいているのとは,根本的に異なっている。国家信用は,歴史的には,国家の借手としての能力,とくに公債発行に対する支払能力への信用を意味していた。しかし現代においては,国家の金融面に対する介入が積極化し,私的信用に対する債務保証を行ったり,国家自体が貸手として多様な活動を行い,国家信用の内容も多様なものに変化してきた。日本における財政投融資計画基軸とした政府の金融活動は,この国家信用の現代的な具体例である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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