国家資本(読み)こっかしほん(英語表記)state capital 英語

精選版 日本国語大辞典 「国家資本」の意味・読み・例文・類語

こっか‐しほん コクカ‥【国家資本】

〘名〙 資本主義社会で、国家が、国営企業および私的企業に投下する資本ならびに国営企業内部で蓄積された資本、国家に所有されている資本。〔国民百科新語辞典(1934)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「国家資本」の意味・わかりやすい解説

国家資本
こっかしほん
state capital 英語
Staatskapital ドイツ語
capital d'État フランス語

国営銀行や公社公団公庫営団金庫などの公共企業に投資されたり、ときには民間私企業貸付などを通して融資されている、国家の所有に属する資本をいう。経済活動がおもに私的資本によって担われている資本主義経済体制のもとにあっては、国家資本は一般に補助的な役割を果たすものとされるが、歴史的にも実態的にも、その役割は小さなものではない。私的資本の規模が小さい資本主義の初期段階や発展途上国などでは、国家資本による企業活動が産業経済発展の主導的役割を担っているし、産業経済の円滑な発展のためには、上下水道、道路交通、通信などの社会資本の整備のための国家資本の活用が不可欠である。現代の資本主義がしばしば公・私混合二重経済体制であるといわれるように、国家の民間経済への政策的介入のみならず、国・公営の公共企業や公資本・信用等々の国家資本の機能はますます拡大する傾向にある。

[吉家清次]

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百科事典マイペディア 「国家資本」の意味・わかりやすい解説

国家資本【こっかしほん】

国営企業と私企業に国家が投資または融資している資本。巨額の投資を要する交通等の公共事業軍需産業等の国営企業への投資,不可欠な産業部門であるが利益の低いものへの投融資財政投融資)等の形をとる。資本主義の独占段階では私的独占資本はこれを利用することによって強化される。

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