国民文化会議(読み)こくみんぶんかかいぎ

改訂新版 世界大百科事典 「国民文化会議」の意味・わかりやすい解説

国民文化会議 (こくみんぶんかかいぎ)

総評の呼びかけで,1955年に発足した文化運動団体。総評や中立労連系の労働組合やサークルと,その労働運動に理解をもつ学者,芸術家,ジャーナリスト,文化団体が集まって新しい文化の創造をめざした。その背景には当時さかんだった,うたごえ運動,生活記録運動,学習運動,あるいは文学演劇,美術,映画などの労働者の文化サークル運動の高揚がある。また米軍基地反対や再軍備・憲法改正反対,あるいは教育・マスコミの国家統制反対などでの労組と文化人の協力もある。初代会長は上原専禄,つづいて木下順二,野間宏日高六郎が代表委員の時代があり,その後は日高が代表。専門家も労働者や主婦もヒザをつきあわせて討論する〈国民文化全国集会〉や〈文化シンポジウム〉などのほか,〈働くものの文化祭〉や各種発表会,原稿募集などを行う。また60年の安保反対闘争やベトナム反戦闘争などでは文化人の活動センターともなってきた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の国民文化会議の言及

【上原専禄】より

…第2次大戦中も〈サルウィアーヌス考〉(《思想》1943)などによって戦争批判の態度を示していたが,戦後は戦時の経験をふまえて,国民の歴史学の形成と新しい世界史の模索に向かい,一橋大学の学長としても,学長選挙への学生参加の方向を打ち出した。55年に創立された国民文化会議の議長となり,57年に日教組が創立した国民教育研究所とも深くかかわった。この頃からアジア・アフリカの問題に発言し《世界史における現代のアジア》(1956,増補改訂版1961)などを発表している。…

※「国民文化会議」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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