国津(読み)くにつ

精選版 日本国語大辞典 「国津」の意味・読み・例文・類語

くに‐つ【国津】

〘名〙 その国の津。その国の船着場
夫木(1310頃)三〇「あしはらのくにつによせしいは舟のさして契りし末なたがへそ〈藤原教実〉」

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日本歴史地名大系 「国津」の解説

国津
こうつ

阿波国にあった中世の津。承久四年(一二二二)三月日の大江泰兼愁状(大東家旧蔵文書)に「国津」とみえる。同愁状は奈良春日社領富田とみだ庄の領家大江泰兼が、同庄が京都祇園社造営料所として国衙収公されたことに対して、その不当性を説くとともに、庄の回復を訴えたものである。そのなかで、富田庄から春日社へ送る年貢を積んだ船が「富田庄之内津」に停泊し、神人らが点定している間に「国衙使数十人」が現れて年貢船を国津に引入れたことが記されている。

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世界大百科事典(旧版)内の国津の言及

【津】より

…古代律令制社会では,民部省の管掌下,国郡司による国家的管理をうけた。中世では,その伝統をひく国津(国府の外港)が重要な位置を占め続けるとともに,《庭訓往来》に領地開発の際設置すべきものとして〈廻船着岸之津〉が上げられているように,さまざまな津が各地域の開発にともなって簇生した。その中には,備後国尾道(おのみち)や伊勢国安濃津(あのつ)のように,荘園の倉敷や津屋が集中し,中小都市の実態を有するに至ったものも多い。…

※「国津」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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