国際砂糖協定(読み)こくさいさとうきょうてい(英語表記)International Sugar Agreement

日本大百科全書(ニッポニカ) 「国際砂糖協定」の意味・わかりやすい解説

国際砂糖協定
こくさいさとうきょうてい
International Sugar Agreement

略称ISA。砂糖の国際市場価格の安定化を図るための国際商品協定。第二次世界大戦後の国際砂糖協定は1954年発効の「53年協定」に始まる。協定の内容は、価格帯を設定して輸出割当てを行うことにより自由市場における砂糖の価格を安定させようとするものであった。また、協定加盟国は非加盟国からの輸入を国際市況に応じて規制することが義務づけられた。以後、「58年協定」「68年協定」と続き、「73年協定」における経済条項の削除、「77年協定」における加盟輸出国の特別在庫の保有に対して融資する「特別在庫融資」の追加など、数次の更改がなされた。93年発効の「92年協定」は、砂糖に関する国際協力の強化、砂糖および甘味料関係の情報の収集、砂糖需要の増大目的としている。

 1997年現在の加盟国は33か国およびヨーロッパ連合EU)で、日本は1954年(昭和29)より加盟している。なお、同協定に基づいて国際砂糖機関International Sugar Organization(ISO)が設立されており、理事会、運営・市場評価・統計などの委員会、事務局で構成され、本部ロンドンに置かれている。

[入江成雄・横川 新]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国際砂糖協定」の意味・わかりやすい解説

国際砂糖協定
こくさいさとうきょうてい
International Sugar Agreement; ISA

自由市場における砂糖価格を公正かつ安定的に維持することにより,輸出国に対しては市場を,輸入国に対しては供給を確保するための国際商品協定。この協定の歴史は古く 1902年のブリュッセル協定に始るが,本格的な協定は 37年5月ロンドンで調印されたものが最初である。第2次世界大戦後の協定は 53年に採択され,54年から発効。一定の価格帯を決め,これに合せて輸出量の調整,供給の保証を行う経済条項付きであったが,73年の協定以降はこの経済条項なしで協定が締結,延長されてきた。 78年から発効した協定では,価格帯,輸出割当て,緩衝在庫操作により安定化をはかるメカニズムがそなえられていたが,85年以降は再び経済条項を欠いている。 98年現在の加盟国は 35ヵ国およびヨーロッパ連合 EUで,日本は 54年に加盟。 (→1次産品共通基金 )

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百科事典マイペディア 「国際砂糖協定」の意味・わかりやすい解説

国際砂糖協定【こくさいさとうきょうてい】

砂糖の価格安定と需給調節を目的とする国際商品協定起源は1902年の補助金規制を中心としたブリュッセル条約。1993年新協定発効(1999年12月末日まで有効)。加盟国35ヵ国とEC(1997)。この協定は,将来経済条項を備えた協定交渉を行う時の枠組みを提供することと,砂糖に関する国際協力が当面の目的である。

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世界大百科事典(旧版)内の国際砂糖協定の言及

【国際商品協定】より

…国際商品協定は需給の枠が国際的な広がりをもち,天候などの要因に左右され価格変動の激しい一次産品価格を輸出,輸入国の一方に偏らないような手段のなかで安定させるのが目的である。第2次大戦前にも1931年の国際砂糖協定,33年の国際小麦協定などいくつかの国際商品協定が結ばれているが,これらは輸出国の利益をはかるためのものか,あるいは国際カルテル的色彩が強いものであった。ITO憲章後の最初の国際商品協定は,49年発足の国際小麦協定,68年いったん国際穀物協定に改組し,その後71年に再び国際小麦協定としてスタートした協定である。…

※「国際砂糖協定」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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