国際経済協力会議(読み)こくさいけいざいきょうりょくかいぎ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国際経済協力会議」の意味・わかりやすい解説

国際経済協力会議
こくさいけいざいきょうりょくかいぎ

1970年代後半,西側工業先進諸国代表が開発途上諸国代表と話合い,「平和共存」時代の国際潮流の方向を示した会議。 1975年の国連経済特別総会に南北対決から対話の空気が生れたのを重視し,これを継続させるためにフランスは経済面における協力会議を提唱した。すでに同年4月から準備会議が行われていたが,北の西側工業先進諸国がエネルギー,ことに石油の安定供給を考えたことに対し,南の開発途上諸国が議題を広げるよう主張して,デッドロックに逢着していた。しかしアメリカが議題拡大に同意したため,10月に再度準備会議を開き,北8ヵ国,南 19ヵ国を選び,エネルギー,1次産品,開発,金融の4委員会をつくることを決めた。 12月 16 (~19) 日,パリで本会議をもって正式に4委員会を発足させた。委員会は南北代表議長会議ののち 76年2月 11日から作業を開始,77年5月 30日再び閣僚会議をもち,委員会による討議のまとめにかかった。本会議は6月3日にいたってようやく終ったが,結果は北側,とりわけ日本側の願望とはかなり離れたものであった。すなわち,日本はエネルギー対話の機関を新設し,そこで石油の安定供給を話合い,なおかつ南側の圧力機関のようにみえた国連とは別の組織をもちたいとしたが,それに失敗した。しかも政府開発援助費を増額 (日本の場合,5年間に2倍にする) ,「最貧国向特別救済資金」 (全額 10億ドル,日本は1億 1400万ドル) ,1次産品の共通基金をつくることなどに工業先進諸国が同意したのである。とはいえ,会議は「決裂でなく,妥協を」選んだ。問題は,工業先進諸国が戦後の新秩序についてゆけず,その要求がどうして出現したか,理由を理解しえなかったことであった。

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