国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(読み)こくさいれんごうへいわいじかつどうとうにたいするきょうりょくにかんするほうりつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律
こくさいれんごうへいわいじかつどうとうにたいするきょうりょくにかんするほうりつ

平成4年法律79号。国際連合による平和維持活動 PKOや人道的な国際緊急援助活動(→国際緊急援助隊),国際機関による選挙監視活動などの国際平和協力業務に適切かつ迅速に協力できるよう,その実施体制を整備する法律。略称 PKO協力法,国際平和協力法。1990年8月に勃発した湾岸戦争契機に,国際平和に対する日本の,資金援助ではなく人的な貢献の必要性が焦点となり,1度の廃案を経て 1992年6月に成立した。国際平和協力本部と国際平和協力隊の設置,国際平和協力業務に関する実施計画などの策定手続き,小型武器の保有貸与・使用などを規定する。また日本が PKOに参加するにあたって憲法第9条に抵触しないよう,(1) 紛争当事者間での停戦合意,(2) 紛争当事者などの日本の参加への同意,(3) 中立的な立場厳守,(4) 前述の条件が満たされなくなった場合の撤収,(5) 必要最小限の武器使用,のいわゆる「PKO参加5原則」が盛り込まれている。1998年の改正で,国連以外の国際機関が行なう選挙監視活動への参加や,停戦合意がない場合の人道的な国際救援活動が可能となり,2001年の改正では国連平和維持軍 PKF本体業務への参加,PKO要員などの防護あるいは武器などの防護のための武器使用が認められた。2015年の平和安全法制安保法制)制定時の改正では,特定区域の保安のための監視,駐留巡回検問警護をさす「安全確保業務」や,遠方の国際機関職員や他国軍兵士などが襲撃された場合に救援する「駆けつけ警護」などが可能となり,この二つに際して任務遂行のための武器使用が認められた。また,国連が関与しない「国際連携平和安全活動」についても,PKO参加5原則を満たしたうえで特定の要件が存在する場合に行なえることとなった。本法に基づき,1992年初めて自衛隊カンボジアで国際平和協力業務を行ない,その後も 1993年モザンビーク,1994年ルワンダ,1996年シリアゴラン高原,2002年東ティモール,2010年ハイチ,2011年南スーダンなどに派遣された。

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